Mind & Body
このコーナーでは、はからめオススメの本や映画、音楽など、皆さんの生活がより豊かになるのではないかと私達が感じたものを紹介していきたいと思います。もし興味が湧いたら実際にご覧になってください。
オススメ−1 ・ オススメ−2 ・ オススメ−3 ・ オススメ−4

『無双原理・易』 桜沢如一著

  桜沢如一氏は原理の中の原理と題して、「宇宙万物は、陰陽より成る」と記しています。
桜沢氏はマクロビオティックの開祖といわれる人物です。食養の世界で「正食」と訳されるこの世界観の根本には、この無双原理があるのだと知りました。この世のすべては無双原理に基づいて考えられる、そうであるならば病気や事象もこの原理にあてはめることができます。これは大発見です。桜沢氏も大発見だと思って研究に研究を重ね、この書に著したのだと思います。けれどなぜ世界は変わらないのか、みなこの考え方を知らないのか、信じていないのか…。謎です。
1931年にフランス語で著された「東洋哲学及び科学の根本原理」を1936年に日本語訳したものの改訂版の新編集版ですから、いかに難解な書を現代人に分かりやすく編集してくれたのかが伺えます。一読してすべてを理解することは難しいのですが、根本にある考え方がわかるとすべての謎を解くヒントを与えてもらえたように思えます。何度も何度も読み返し理解を深めたい本です。はじめの岡田定三氏の解説が非常に分かりやすく説明してくれています。  (よ)

『日本語ぽこりぽこり』 アーサー・ビナード著

  詩人であるアーサー・ビナードさんのエッセイ集です。前都知事の石原慎太郎氏が芥川賞の選考委員だったときにアーサーさんを絶賛していたと聞き、小説家を絶賛させる文章って、と興味を持ちました。もちろん日本語で書かれています。
この本はすごく面白くて、ひとつひとつのお話には私の知らなかった日本語の言い回しが登場したり、シャレか駄洒落か、おやじギャグをとばしたりとこちらが教えられることばかりでした。
海外に行くと改めて日本のことをちゃんと見れるようになるとはよく言いますが、アメリカ人であるアーサーさんの視点からとらえた日本は、日本の中だけにいる日本人よりもよくこの国を見ているように思います。ぽこりぽこり、なんだかかわいい擬態語ですね。この「ぽこりぽこり」、もしくは「ぼこりぼこり」を使える日本人はどれくらいいるのでしょうか。これからのこの国は、日本語を使える人たちが担っていくことになるでしょう。
日本が国際化を宣言したあの日から、日本語と日本文化はアメリカにおける先住民(インディアン、ネイティブアメリカン)と同じ末路を辿るような気がしています。せめて、日本語だけでも残すことができれば、言葉に宿る魂が、時を越えて未来の人たちへとメッセージを伝えることができるかもしれません。  (よ)

『宇宙船とカヌー』 ケネス・ブラウワー著 芹沢高志訳

  タイトルに惹かれ手にしたものの、読み終えるまでにかなりの年月がかかりました。それほど読むのに時間のかかった本でした。
宇宙船をつくるプロジェクトに人生をかけた天文物理学者フリーマン・ダイソンと、カヌーに惚れ込んだ息子のジョージ・ダイソンのことを綴った二重伝記です。1984年の本です。
驚くことにこの本で知った、第二次世界大戦下で日本に起きたこと、海洋カヌーバイダルカは当初どのような使われ方をしていたかなど、知らない真実がありました。それはこの本を読んでの副産物ということで、本筋は宇宙船開発と海洋カヌーの旅を交互に綴った内容です。時代が時代なので当然といえば当然ですが、フリーマン・ダイソンの頭脳は戦時中は戦争のために使われました。戦後彼は「宇宙探検こそ暗黒の世界に浮かびあがった輝ける希望」として宇宙船開発に従事します。宇宙での核利用ということからフリーマンの宇宙船は実現には至りませんでしたが、その工程を綴るケネス・ブラウワーの記述は興味を惹くところがあります。あの時代にもうそこまで考えていたのかと思うと、人間頭脳を超えるものが関与していたのではないかとさえ感じます。
宇宙に興味がある人にはかなりおススメ本です。さてその息子のジョージのカヌー人生はというと、シーカヤックやバイダルカに興味がある人には面白いかもしれません。カヌーで海を航海してみなければ分からないことだらけです。10年以上経って、ようやくこの本を完読することができたのは、宇宙とバイダルカについて身近に感じはじめたからかもしれません。
この両極端な二重伝記が当初はベストセラーになったそうです。この内容を本当にたくさんの人が理解できたのでしょうか。夢物語として読めばそれもよし、けれど1984年以前にあった事実だということが何よりもすごいことだと今更ながらに思います。宇宙船とカヌーという非日常を描くこの世界観が人々を魅了したのかもしれません。その非日常が非でなくなるとき、この物語はかなりのリアル感を持ってやってきます。今一度、一読してみてほしい本です。  (よ)

『木とつきあう知恵』 エルヴィントーマ著 地湧社

  「家を建てる前にこの本を読んでいたら…」と思います。「森へ入って、使う用途にあった木を探す」考えなくてもシンプルな行為なのですが、ほとんどの建材や家具に用いられる木は「どこかの国で誰かが切り倒した木」であることが多いです。もし自分で使う木を選ぶことができたら、切り倒す日も選べるのであれば、この本にあることを是非実践したいです。新月伐採した木を用いることでたくさんのいいことがあるのになぜその知恵を使わないのか、もしかしたら知らないだけなんじゃないか…。
この本では釘も接着剤も使わない、木材だけで建てる家について紹介しています。完全とはいかないまでも、塗料や接着剤もできるだけ自然界にあるものの中から選べたらいいですよね。木とつきあう知恵を学んだら自然とつきあう知恵も育まれると思います。生産者の方々にも是非「木とつきあう知恵」を学んでほしいです。  (よ)

『ホクレア』 内野加奈子著 小学館

  ハワイから海洋カヌーで旅をした経験は壮大なひとつの物語を読んでいるかのようでした。
ホクレア号というハワイの伝統カヌーに乗ってハワイアンとともに日本へと航海をした内野加奈子さん。GPSを用いる前の伝統航海術を学び、星や波のパターンを読み、遠くの島々へと航海する物語は、私たちの忘れ去られた記憶を呼び戻します。かつてのハワイアンがそうだったように。科学や文明が発展を遂げ、機械が正確に時を刻むようになってから、便利さと引き換えに人間の本能が失われたと感じているのは様々な国の先住民族だけではないと思います。今では使われなくなってしまった人間の本能を呼び覚ますことで、人としての生き方をもう一度考えることができる、カヌーというものを通して同じことを感じている人がいるのだと知って驚きました。この何にも代え難い人間の力を、本という形を通してその叡智を分かち合ってくれたことに感謝です。  (よ)

『ヤナの森の生活』 ヤナ著 ケイコ・フォレスト訳

 2017年、ハワイ島でケイコ・フォレストさんと出会いました。森の中で暮らすと自然と共存しながら自然の叡智を身につけます。自分の暮らす環境を保つためには水やトイレのことも工夫しなければなりません。この本は2012年にケイコさんがハワイ島の森に暮らすフランス人のヤナさんの言葉を綴って作った本です。
旅人がどんな流れで定住する地までたどり着いたのか、ヒッピーとは時代やファッションだけでなく、自然に叡智を求め、学び、そこから自分の流れを見つける人たちのことをいうのかもしれません。大地と暮らすための工夫などはとても面白く、どこで暮らしていてもその土地にあるものを生かして使う点はわたしたちも同じです。自然の中で生きるということは創意工夫の連続です。ヤナさんケイコさんから受け継いだメッセージを今こそ実践するときだと思います。  (よ)

『ペレ』 ハーブ・カワイヌイ・カーネ著 新井朋子訳 ホクラニ・インターナ ショナル

 ハワイ島ボルケーノ国立公園にあるジャガーミュージアムで見つけた本です。ペレについての日本語版の本がありました。ハワイ島に来たら誰もがペレの名を耳にします。この島の女神です。人々に警告し、火山を噴火させ溶岩を流して大地をのみこむ力を持っています。この本ではペレの生い立ちから今に至るまでの物語を迫力のある絵で見せてくれます。オヒアレフアの伝説やペレにまつわる不思議な話など、ハワイを知るのにとても役立ちました。
著者、画家のハーブ・カワイヌイ・カーネ氏はハワイのアーティスト、歴史家です。「ポリネシア人の航海に関する研究がホクレア号建造へと繋がり、その初代船長を務めた」人物です。ハワイ島でこの本に出会えてよかったと思います。とても素晴らしい本です。  (よ)

『イワンの馬鹿』 レフ・トルストイ著 北御門二郎訳

 福島県須賀川市にある穀物菜食レストラン『銀河のほとり』の有馬克子さんから紹介してもらった本です。誰もが知る童話「3匹の子ブタ」のようにわかりやすいお話です。現代を生きる人すべて、さらに経済中心に考えている人や今の政治家、アメリカ大統領にも読んでもらいたい本です。
訳者である、1913年生まれの北御門二郎氏はトルストイから学んだ「絶対的非暴力」を貫き兵役を拒否したそうです。本の終わりにトルストイの略年譜が掲載されていて、トルストイがどんな人物だったのか、学校で習ったトルストイや映画化された作品からだけでは伝わらない生き方を知ることができます。チャイコフスキーやガンジー、エジソンにも讃えられても、どんなに有名になっても、彼は満ち足りることなく自分の人生の旅をあきらめなかったのでしょう。何度も何度も読み返したくなる本です。  (よ)

『おぢいさんのランプ』 新美南吉 著

 阿蘇のキルプ書房にてこの本を手にし、その場で店主の渕上さん、オーナーで菓子職人の仁美さん、匠と私で「この本に旅をさせよう。」ということになりました。まずは阿蘇から福島へ、そこから先は本と出会った方々の行くところへと旅が続きます。2020年、阿蘇のキルプ書房に帰郷するということだけ決めてあてのない旅へと出発しました。
『おぢいさんのランプ』にはいくつもの短編が収録されており、登場人物も行ったり来たり。少年だった久助くんがいろいろなところへ行けるかな。教科書に掲載された『ゴンギツネ』の著者、終戦二年前に29歳でこの世を去った児童文学家新美南吉の作品です。  (よ)

『茶の本』 岡倉天心 著 桶谷秀昭 訳

 五浦美術館に展示されていた冒頭の訳を見て、惹きつけられました。原文は岡倉天心が1906年に英文で執筆したもので、この本には日本語訳と解説と英文が収録されています。
「茶の始まりは薬用であり、…」の冒頭の文章には日本人も心打たれることと思います。東洋人が西洋人に蔑まれてた時代に、東洋の思想と哲学を伝えた岡倉天心。この本は海外の教科書に載るほどに有名だったそうです。美術界における軌跡を辿るだけでも希有な人生と思える氏の、内に秘められた詩的な表現が溢れ出ています。天心独特の美学がちりばめられた文学です。その耽美かつ詩的な表現に、日本人とはこのような情緒を持った民族であったのか!と目から鱗が落ちました。茶の道、道教と禅、芸術、花、と綴り最後は千利休…。時代を超えた申しぶんのない一作品を観劇したかのような錯覚を覚えます。訳者桶谷秀昭氏の解説もとてもいいです。
『Book of Tea』は海外で賞賛され、のちに日本語訳がいくつも出版されています。私は現代語訳より古典かな使いの訳のほうが当時の情景を感じられる趣があって好きです。冒頭の文章に至っては、古い訳でなければあの感動は得られないと思いましたが、かなりの数の現代語訳が出版されているのでわかりやすくなって広く読まれているのだと思われます。日本を知りたい海外の方にも紹介したいすばらしい本です。  (よ)

『森へ』 少女ネルの日記  ジーン・へグラント著 山本やよい訳

 電気がこなくなって町は荒廃し、お店には商品が並ばず治安が悪化、ガソリンもなくなり移動手段もなくなってしまったら…。
1997年に日本語訳されたこの小説は、今の私たちにかなりのリアリティを感じさせてくれる内容だと思います。家族と共に森に住む主人公は、夢や希望を持ちつつも日々の生活に追われていきます。親が亡くなり、生きるために作物を作りその保存法を学び、森の木を切って薪を使って生活をします。町から隔絶されたと思われる森の家にもいろいろなドラマが繰り広げられ、幸せ一辺倒ではありません。夢もあきらめなければならないかも…。生きるか死ぬかの生活が迫ってきて、それどころではないのですから。
便利な世界がなくなってしまうとき、当たり前の生活が送れなくなってしまうとき、人はどのようにして生き抜いていけばよいのか。もし自分だったら…、と考えてみるかもしれません。堅くなってしまいそうなテーマを次々にやってくるハプニングが面白く読ませてくれます。あっという間の本の世界は、読み終えた後の現実世界にもう一度立ち戻るチャンスを与えてくれます。  (よ)

『プレアデス『メシアメジャー』からの黙示メッセージ』  村中愛 著 小川雅弘 序文

 匠くんとわたしが出会う前に、匠くんはペルーで、わたしは高知のストーンサークルでこの方に出会いました。その時にも「何か不思議なものに導かれて感」がありましたが、この方と会う時には現実的なところとスピリチュアルなところのバランスがしっかりされている安心感というようなものをいつも感じていました。その時は本を出版していませんでしたが、「声」は既に聞こえていたのですね。この本はその「声」の主、メシアメジャーから届いた言葉を20年間記録したものです。予言や教え、警告が順を追って綴られています。すごいです。
小川さんの序文にあるように「万人のための本では ないけれど、世界中に、きっとこのメッセージたちに響く方々がいるはずです。その響く人へ向けて」出されたのだと思います。気になる方は是非お手に取って、じっくり何度も読み返してみてほしいと思います。  (よ)

『103歳になってわかったこと』  篠田桃紅 著

 以前ラジオで篠田桃紅さんのインタビューを聞きました。インタビュアーが篠田さんに長生きの秘訣として生活習慣や食事について尋ねると、「好きな時間に寝て好きなものを食べる。」と答えていました。仕事柄夜中まで起きているときもあるから早寝早起きではないし、一人暮らしで誰かに何かをしてあげる必要もしてもらうこともないから決まった時間というものもない。規則正しくなんてしたことがない。食べたいものを食べたい時に食べたいだけ食べる、と言っていました。世間一般的な健康論でなくても、103歳の方がこれまで生きてきてこうだったというのですから説得力があります。自由でいいのだと感じました。立派な言葉や格言ではない、一個人の価値観にあらわれている言葉に重みを感じます。こうありたい、こうあるべき、と決めつけたり目標を定めるのではなく、ひとりひとり違っているし、真実なんて誰にもわからないということが「103歳になってわかったこと」の中に書かれています。尊敬するギャラリーのオーナーがこの本をお持ちでした。芸術を愛する自由人におススメする一冊です。  (よ)

『「食の職」新宿ベルク 安くて本格的な味の秘密』  迫川尚子 著

 中学の同級生から「読んでみて」と手渡された本です。彼女から何年か前に「ベルク」を教えてもらいました。いいお店だなと思っていたので、よりリアリティを感じて読みました。ひと言で言って「面白い」です。食に関することの本質が詰まっている、と思うほどです。食材や調理の仕方、仕事への向き合い方、商品開発、マーケティング、職人さんとの関係に至るまで、感動を覚えます。スバラシイ。美味しいものを追求していく姿勢、15坪という限られた環境の中で1日1500人分の食材と食器等を扱いロスも出さない、作り置きもしない、ましてや新宿駅構内という場所で大手チェーン店ではなく個人経営、その中で常に進化を遂げ努力をしているというその姿勢に心打たれます。これはファンになっちゃいます。食に関心がある人たちみんなにおススメしたい本です。久住昌之氏(孤独のグルメの作者)の解説もまた絶品。これを読んで「ベルク」へ行こう!という気になります。  (よ)

『キネマの神様』  原田マハ 著

 全6回のラジオドラマで毎週楽しみにしていた作品です。西田敏行さんと竹下景子さんの二人芝居、一人何役もこなして小説をドラマ化しています。これまで聞いたラジオドラマの中でもこの作品は群を抜いていました。楽しみにしていた最終回を聞き逃したので、どうしても結末が気になって小説を探 し求めました。見つけたとたんに結末が気になりその場で読み進め、その瞬間からハンカチが必要な状況に。もちろん途中で止めることなどはできずに 最後まで読破、そして家に帰って最初から最後まで読みました。映像では感じられない小説のよさを味わえる作品です。
映画が好きな人には間違いなく共感できます。時代の遺物と現代のインターネット社会を感動的なストーリーで繋ぐまさに秀悦な現代小説、素晴らしい の一言です。これを読んだ人はみなキネマの神様の存在を感じるはず。解説の片桐はいりさんもすごくいいです。「映画ってほんとにいいですね〜。」 という声が聞こえてきそう、かなりオススメな小説です。  (よ)

『二十四節気で楽しむ庭仕事』  曵地トシ 曵地義治 著

 オーガニック庭仕事屋さんを営んでおられるご夫妻の著書です。曵地ご夫妻は農薬を使わない病害虫対策や自然環境に配慮した庭作りをされています。植物を相手にしている関係上、季節の移り変わりや虫たちの動向にはとても敏感なのだと思います。虫や動植物を観察することで自然界の動きを読みとって季節の移り変わりを感じ、適した植物の手入れ法を実践されています。観察するということから虫好きになり、数々の著書にも著しています。その洞察力には虫好きでなくとも興味を抱いてしまいます。日本の四季の美しさを二十四節気で詠み、俳句を通して日本語の素晴らしさを伝えてくれるとても楽しい本です。  (よ)

『薬草の自然療法』  東城百合子 著

 家庭の台所にあるものや野山、庭先に生えている野草を用いて体を治癒していくための知恵を教えてくれる本です。著者の東城百合子さんは大正14年生まれ、肺結核で死にかけたときに玄米と野草の力で助かりました。お医者様の処方してくれる薬や現代の栄養学では直せなかった病を、身近にある植物で直していくための方法を教えてくれます。どの野草が何にきくか、どう用いるか、また美味しく食べる料理法や保存食の作り方に至るまで親切丁寧に記述されています。1988年に書かれた本の新版(2010年発行)のようで、中のイラストがレトロでいい感じです。実践できる教科書、読んでいて楽しく、ためになります。一生使える本だと思います。かなりおススメです。  (よ)

『自分でわが家を作る本。』  氏家誠悟 著

 セルフビルドの参考となる本です。はからめランドの家もこの本から学ぶところが多々ありました。間柱筋交いの刻み方や入れ方などとてもわかりやすく説明しています。家作りほとんど全ての工程を写真とイラスト、文章で記録しているので、予習と理解のために家を作りながら次の工程を読み進めていきました。家の趣味や形は異なっても、在来工法で建てるのであればかなり参考にできます。仕事に通いながら休みの日を利用しての建築作業、家の中で朝と夜に刻み作業など、時間の使い方や効率よく1人でもできるような工夫などは実際に著者がやってみて得た方法、楽しんで家作りをしているのが感じられます。自分だったらこうするなと応用やアイディアを出したくなるような、セルフビルダーたちにはバイブル的な本になっているのではないかと思われる本です。  (よ)

『350万円で自分の家をつくる』  畠山サトル 著

 はからめランドの家作りに参加してくれたトシくんが持ってきてくれた本です。トシくんも自分で家を作ることを目的としています。15坪の家を予算350万円で施工期間6ヶ月で1人で作った著者の記録です。土地を探すところから確認申請、電気工事、設備工事、仕上げて完成まで、写真とイラストと文章で説明しています。建て方だけでなく、夫婦で作業をしたら仲良くなるか、たくさんの友人に手伝ってもらったらはかどるかなどのことに関しても正直に書いているところが参考になります。このセルフビルドの家は「住まいの環境デザイン・アワード2012」で空間デザイン最優秀賞を受賞しました。ちなみに著者は建築設計の仕事をしています。  (よ)

『木の家に住むことを勉強する本』  「木の家」プロジェクト 編集

 木のことを勉強するための教科書のような本です。森の育み方から森とともに生きる人々の紹介、木の種類や性質、木の家作りの紹介へと続きます。木を製材したときの呼び名や木造建築の用語集などもあるので参考にできます。セルフビルドというよりは、いかにいい国産材でいい大工にいい仕事をして家を建ててもらうかという施主の心構えのようなものを培う本です。木を育てるためには山の管理が必要で、山が豊かになれば川と海が育まれ、その恩恵で人間も生きることができるという循環を教えてくれます。  (よ)

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