ニス塗り
色校。
 2022年7月30日

朝練で昨夜サンディングしておいたカヌーの木の部分にニスを塗ります。
北海道で毎日のように乗っていたこともあり、メンテナンスも含めて広島に行く前の準備をしています。
福島県の山の中、早朝ならばまだ涼しさが感じられますが、晴れれば日中は外作業をしたくなくなるほどの日差しの強さを感じます。

色校

月のカレンダーの絵の色校が始まりました。
色校は何度も何度も色を調節して「これだ!」という色になるまで作業を続けます。1日では終わらず、一晩熟成させてもう一度考える、色を調整したものをさらにまた変える、ということが続きます。
最終段階は印刷屋さんに行って試印刷してもらったものを濃度調整して決定します。その前までにいかに納得のいく色を作れるかが勝負、粘り強く諦めずにやれるだけのことをやります。

ムーンサークル

平行してムーンサークルカレンダーの制作も進めていきます。
ハワイ島在住のリトルイーグルデザイナーKaorikoさんとやりとりしながら、2023年のテーマを決めていきます。モチーフとなる原案を何パターンか描き、「これでいこう!」というものが決まりました。
ちなみに2022年のモチーフはティーリーフと呼ばれるハワイに自生する植物です。カヌープラント(ポリネシアからカヌーによって運ばれた植物)のひとつとして海を渡ってハワイにやってきました。つやつやとした大きな葉は、捧げ物の供物を包んだり、レイを編んだりフラの衣装にも使われ祈りとともに用いられます。今年、2022年のテーマは「真の自分の道」です。

2023年のムーンサークルカレンダーもお楽しみに。


みずたま
文月新月。
 2022年7月29日

文月の新月です。月は獅子座に位置しています。
獅子座の司るところは創造力と決断力です。

思いもかけないことが起こるものです。
以前から予定していた今日の予定がキャンセルになりました。突然のことでしたが、暦を作っていると身の回りに起こる現象が意味のある出来事なのだろうと思えるようになります。
さらに印刷屋さんとの連絡で、カレンダーの入稿日が1日早まりました。
急遽生まれた丸1日の時間が生かされます。予期せぬトラブルのおかげで予期せぬ幸運、とでもいいますか、不意打ちを食らって動揺する間も無く暦作りに専念しています。

地球

ジェームズ・ラブロック博士が103歳の誕生日(7月26日)に亡くなられたとのニュースを見ました。
ラブロック博士はNASAで働いていた頃に「ガイア仮説」を生み出しました。のちにこの「ガイア理論(地球はひとつの生命体である)」との考え方は、環境活動家たちに広く知れわたるようになります。環境主義者から支持を得ながらも、地球温暖化については「原子力だけが温暖化を止めることができる」と原子力を支持してきたことによる見解の違いもありました。
2006年のイギリスの新聞のインタビューによる談話では、地球温暖化による影響で「21世紀末には人類は何十億もの人々が死に、気候的に耐えられる極地でごく少数が生き残るだろう」との記述が残っているそうです。
103年の時代を生き、未来学者といわれ、人類に大きな影響を与えた人物の歴史が幕を閉じました。ガイア理論については、龍村仁監督の「ガイアシンフォニー第4番」(2001年作品)の中で、本人のインタビューが見られます。

納豆

畑の収穫物、ネギと紫蘇とスベリヒユに手作り納豆とひしおこうじを和えたシンプルな朝食。
土と水とお日様があればいのちが育まれる、この自然界のサイクルこそ、地球がひとつの生命体を形成しているという考え方の現れのような気がします。



ラフ案
絵を描く。
 2022年7月28日

「はからめ月のカレンダー」制作の中で時間とエネルギーをかけるのは毎月の絵となる部分です。暦の部分はあらかた決まっているサイクルを私たちなりに文字化、視覚化しているので「何にしようかな〜。」といった大きな悩みはないのですが、絵の部分は自分たちで考えて描かなければ形にできません。一年間の軌跡をたどり、どんな絵を描こうか、どんな色を載せようかと思いをめぐらせています。

参考文献?

カレンダーの右下に描かれている小さなイラスト、通称パラパラ漫画(いわゆるパラパラ漫画とは異なる連続性のあるイラスト)は文字のないストーリーとなっています。これまで種から木が芽生えるところ、木で家を作るところ、木からカヌーを作って旅に出るところ、植物が芽生えて果樹が実るところなど、わたしたちが感じる様々なストーリーを12ヶ月で表してきました。ちなみに2022年は植物から繊維を取り、繊維から布を織り上げ、W&Cカヌーの材料とするまでを描きました。2023年はどんな物語を作ろうか、あーでもないこーでもない、あーしようこーしようと頭をひねっています。

はからめランドの畑

今年は外出している期間が長かったこともあり、畑の草取りをあまりせずに自然栽培に近い形で作物ができるのかを実験しています。草を取らない方が作物が虫にやられにくいとの見解もあり、実際にどうなのかを知りたいというのも理由のひとつでしたが、さすがに伸び放題で景観だけでなく安全上の問題もあり(ヘビなどが潜んでいたら、等)少し手を入れることにしました。
パセリなどのハーブ類は草の勢いに負けていました。支柱を立てた蔓性のいんげんは実っていました。春蒔きした春菊は花が咲いてもはや観賞用となり、ビーツは草むらの中でも葉を開き収穫できるようになりました。
こぼれ種で発芽した紫蘇と雑草と言われるイヌビユ、スベリヒユなど育てていないものが育ち、育てているピーマンは育ちませんでした。
畑という名の食べられる野草ゾーンみたいになってしまいましたが、山菜の季節が終わった今、少しでも食べられるものが得られるというだけでありがたいと思っています。
野菜は種を蒔かなければ出来ませんが、野草は種を蒔かずしても育ち、どちらも共存している畑、これもエディブルガーデンと言えるのかもしれません。
山を降りて買い物に行かなくても何かしら食べられるものがあるということに感謝です。


カレンダー制作
暦のデザイン。
 2022年7月27日

2023年「はからめ月のカレンダー」のデザインをしています。

グレゴリオ暦、旧暦、和風月名、祝祭日(新暦、旧暦)、月の満ち欠け、潮汐、九星、干支、新月と満月の星座と時間、二十四節気、七十二候、雑節、彼岸、社日、一粒万倍日、土用と間日、大犯土、小犯土、日食、月食、流星群、日々の月の星座、メッセージ、歳時記、そして毎月の絵と右下の12枚のイラストを入れて組み上げ、それを校正します。

時間がたくさん欲しいと願うほどにやることがあるのですが、限られた時間だからこそ完成させることができるともいえます。とにもかくにも朝昼夜、ずっと暦作りに専念しています。

納豆製作

日に日に食事にかける時間が短くなっていきます。
こういうときに酵素玄米は楽です。一度に一升を炊きあげて保温し続けるので、その都度ご飯を炊く手間が減ります。酵素玄米、納豆、梅干し生活が板についてきました。
先日アメリカ在住の義妹から納豆作りを習いました。購入していた納豆もあるので、しばらくは納豆が私たちの食生活を支えてくれます。酵素玄米と納豆、梅干しによる発酵食品がはからめ月のカレンダーの製作を捗(はかど)らせてくれます。

ひしお麹製作

穀物菜食レストラン「銀河のほとり」で購入した「ひしおこうじ」もお役立ち食品のひとつです。お水と醤油を入れてかきまぜて常温発酵させるだけでできる発酵食品です。今の気温でしたら3〜5日くらいでできるので、仕込み時間2〜3分で数日待てば美味しい醤油麹が作れます。
お豆腐にかけたり野菜と和えたり、お好みで色々使える便利な発酵調味料です。
忙しい時ほど簡単で美味しい食品が重宝されます。新鮮な野菜と質の高い調味料があればあとはなんとかなるものです。切って和える、湯がいて和える、そのままでも美味しい夏野菜の季節になりました。


3兄弟
鈴木家の夏休み。
 2022年7月22〜25日

横浜から、匠母とアメリカから帰省中の妹、甥っ子姪っ子の5人がはからめランドにやってきました。3泊4日の夏休み旅行です。

「探検に行きたい!」
「カニ捕まえたい!」「ヘビ見たい!」「トカゲ捕まえたい!」「カエル捕まえたい!」「絵を描きたい!」

テントを張って焚き火をして、やりたいことをやりきった充実のはからめランド、8歳6歳3歳の記憶に残ると旅となったでしょうか。

3兄弟

救急病院に問い合わせやユンボでレスキューなど、大人にとっても忘れられない濃い時間となりました。病院には行かず元気に復活、人も車も無傷でレスキュー、イベント性の高いはからめランド滞在です。

3兄弟

最終夜はいわきの温泉宿に宿泊しました。
昨年知り合った古滝屋さんにお世話になりました。7人で泊まれる大部屋をご用意していただき、源泉掛け流しの温泉宿で安心して楽しい時間を過ごさせていただきました。こちらの宿には原発災害考証室があり、当時福島がどのような状況にあったか、どんな思いでこの地に暮らしているのかを感じることができます。 1階エントランスのラウンジにはたくさんの本とゆっくり閲覧できる机と椅子、ドリンクコーナーのサービスがあり、ホテルとしてだけではなく、コワーキングスペースとして利用している方もいらっしゃいました。様々な取り組みをされている古滝屋さん、またゆっくりと訪れさせていただきたいと思います。

アクアマリンにて

最終日は環境水族館アクアマリンに行きました。魚大好きな子どもたちは大喜びです。
釣った魚をその場で食べたり、海に入ってヒトデやナマコを掴んだりと、海と水と親しむことができるとても楽しい水族館でした。企画展示レオ・レオニーさんの絵本『スイミー』のブースもあり、センスのよさも感じられた環境水族館、お子様のいるご家族にはオススメです。観覧時間のめやす1時間30分を大幅に上回り4時間経ってもまだ見残しがありました。

満喫しすぎた水族館、みんなでお昼ご飯を食べた頃には夕方になっていました。
楽しかった福島旅行、いい思い出になってくれると嬉しいです。

マヤ暦から派生した現代に作られた新しい暦「13の月の暦」によれば7月25日は「時間をはずした日」とされています。7月24日が大晦日、7月26日が新年、間の25日は時間をはずして過ごす日、としています。
私たちにとっては大晦日を家族で過ごし、時間を忘れて水族館を楽しんだ日となりました。
みなさまもよい夏休みをお過ごしくださいね。



関連サイト : 古滝屋 ・ 環境水族館アクアマリンふくしま

水の祈り
太田川、水の祈り。
 2022年7月21日

今年の夏も広島で水の祈りの時間を持ちます。
8月5日、広島市の太田川のほとりにて、水合わせを行います。(上の写真は過去の様子)

水の祈り
http://canoeday.com/hiroshima/

わたしたちは太田川上流の柳瀬キャンプ場を5日の朝に出発し、カヌーで原爆ドームのほとりまで水を運びます。夕方、ポップラの木の周りで水合わせのセレモニーを行い、合わせた水を太田川に献水します。ポップラの水合わせのセレモニーはどなたさまもご参加自由です。捧げたいお水を持参して当日いらしてください。

水の祈り

北海道で再会した友人サオリちゃんから、ウクライナとロシアで購入してきたお茶をいただきました。サオリちゃんは東欧雑貨を扱っている「しまくま堂」を経営しています。以前のように自由に旅ができなくなり、仕入れ旅にも影響が出るようになりました。平和でなければ自由に旅をすることはできず、戦争は当事国だけの問題でなく世界に影響を及ぼしています。ものの金額が上がるだけではありません。自由という選択もできない世界が始まっています。軍事支援を続ければ戦争は長引くだけ、日本政府には停戦して今後のことを話し合いで解決していく道を選ぶよう、ウクライナとロシアにアプローチしていくことを願います。

広島での水の祈りは広島だけへのメッセージではありません。わたしたちが福島から水を運ぶのは福島だけのメッセージでもありません。福島から広島へ、そして太田川から海へと注ぐその平和のひとしずくが、やがて地球全体をめぐることをイメージしています。

今年はウクライナとロシアのお茶を囲んで祈りのひとときを持てたらいいな、と思っています。(注:お茶の原産国は他国ですが、調合・販売元がウクライナ、ロシアです。)



関連サイト : 水の祈り ・ しまくま堂

草ぼうぼう
夏土用。
 2022年7月20日

夏土用(なつどよう)立秋の前の18日間のことをいい、土の気が盛んになるといわれています。夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は、博物学者の平賀源内が広めたという説があります。また1年のうち4度ある土用の内、夏の土用が特に重んじられるのは、陰陽五行説の考えで夏の土用だけが季節の前後関係において相克(相手を打ち消す)関係にないからです。
(はからめ月の手帳より)

夏の土用の時期にカビや虫の害から守るため、衣類や書物に風を通して陰干しすることを土用の虫干しといいます。また梅干しの天日干しもこの時期です。
(はからめ月の手帳より)


気がつけばもう夏土用、土の気が盛んになって草木の勢いが増しています。たった2週間あけただけで、と思うのは人間で、森の勢いは時間を超えています。
畑の草は伸び、収穫できるものを覆い尽くしていました。 手を入れる前に心の準備が必要なほどです。せめて家の周り、歩くエリアだけでも草刈りをしなければ安心できません。

梅

梅の実が熟して落ちていました。木には黄色くなった実が十数個ほど残っています。完熟した貴重な梅を収穫して梅干しに、落ちた梅は梅酵素を作ります。
土用干しの時期に梅を収穫していますが、完熟した梅から作る梅干しはフルーティでとっても美味しいのです。

スズメバチの巣

月のカレンダーのデザインに集中できるまでに数日を要します。
森の生活では心の準備ができる前に体を整える時間が必要とされます。

倉庫の入り口に巣をつくっていたスズメバチの巣がかなり大きくなっていました。
この森には熊はいませんが、蛇やスズメバチなど気をつけなければならない存在がすぐそこにあります。
倉庫に入るときにはゆっくりと扉をあけ、「入りまーす。」と一声かけてからすべての動作を静かに行うように気をつけて。用事なく倉庫に出入りすることも控えます。

堆肥

週末のゲストに向けて、コンポストトイレの中も畑の堆肥所に入れ替えます。
はからめランドのトイレは水を使わないコンポストトイレです。通常は大人2人で使用していますので、半年に1度くらいの割合で畑の堆肥所に入れ替えています。ハワイのジャングルに滞在していたときには「小水は土の上でしたらどこでも。」というスタイルでした。はからめランドでも同じようにしていますが、慣れない女性にはトイレを使ってもらいます。水分はタンクに溜まるようになっていて、いっぱいになったら10倍に薄めて肥料にする、と習いました。
自分たちの体から出たものを自分たちで循環させていくための労働は生きる上での大切な基本に立ち戻してくれます。

カレンダーイラスト

森の生活すべてを1日で取り戻すことはできません。ひとつひとつ丁寧に。
この時間こそが私たちの作るものに反映されていくのだと思っています。


松島町
松島町。
 2022年7月16日

DAY15(7月16日)松島町

朝10時仙台港着のフェリーの中で、宮城県の松島町、大崎市に豪雨被害が出ているとの情報が入りました。OPEN JAPANのメンバーは丸森町から現地調査に向かうために準備をしているとのことです。

「仙台港って、大崎市も松島町近いね…。」
「近いね…。」

北海道旅の余韻に浸る隙もなく、下船した後OPEN JAPANのメンバーと連絡を取り合い、私たちは松島町に向かいました。
45号線を仙台方面から北上、途中土砂による復旧作業で片側通行のところもありましたが、松島海岸は観光客もちらほら歩き、お店も営業していました。
松島駅までの道は水が引いていましたが冠水したあとが見られます。駅前のタクシー乗り場は低くなっているようで未だ水が流れていました。

松島町

山の方へと向かうと、高城川支流あたりで道路の真ん中に止まった状態の車2台を発見。川岸には横転している車両もありましたが、人的被害はなさそうです。
そのまま山の方へと向かいます。通行止になっている146号線と交差した道で、通り抜けようとして転倒したバイクに遭遇しました。ぬかるみの中で転んで、バイクが起こせなくなっていました。すかさずレスキュー、怪我がなくてよかったです。

松島町

少しでも通れるようにと、匠くんは倒木を手鋸で切っています。さすがにチェーンソーを積んでいませんが、手鋸や斧、長靴やレインウェア、フラッシュライトなど、野外生活のための道具や知恵は災害時にも役に立ちます。

通行止の道を両サイドから行ってみました。この道沿いで土砂崩れ等による被害のあった民家はなさそうです。通れなくなっていた道は山が崩れて、倒木と落石でガードレールは歪んでしまいましたが、比較的短い距離でもありユンボ1台あれば通れるようにできそうです。国道か県道なので多分今日か明日中に作業されると判断し、一通り回って、現地の様子を災害支援チームに報告しました。

Veganカップラーメン

現地の商店で話を聞き、店もコンビニも通常通りやっているのを確認します。
北海道旅で食べなかった、もしもの時用のカップラーメンを開封するときがきました。お湯を沸かして遅めのお昼ご飯。楽しかったカヌーの旅、まさかこんな旅の終焉になるとは思いもしませんでした。

OPEN JAPANは大崎市に調査に入っていて、今後の支援について社会福祉協議会と話し合っているようです。支援チームも今夜は丸森町のベースに帰るとのことで、わたしたちも状況を見て福島に帰ることにしました。

LONESOME COWBOY

仙台に寄って今回の旅で役目を終えたレインウェアを新調し、気になるバーにご挨拶(開店前でしたが開けてくれました)。

二風谷アイヌ文化博物館
二風谷、厚真町へ。
 2022年7月13〜14日

DAY12(7月13日)二風谷

再び二人旅になりました。
15日のフェリーに向けて、わたしたちの旅も終わりに近づいています。
行って見たいと思っていた平取町立二風谷アイヌ文化博物館を目指します。
博物館はコタン(アイヌ語で村)の中にあります。
コタンの中を歩いて行く道々には丸木舟が置かれていました。きっと沙流川流域で使用されていたものなのだろうと思います。一本の木をくり抜いて作られたカヌーです。

二風谷アイヌ文化博物館


博物館から出て駐車場に行くと、わたしたちの車をくまなく見ている青年がいました。
「旅人ですか?」
と声をかけられました。
「実は博物館で見かけて、気になったので出てくるのを出待ちしてました。」
話しかけてくれたのは三年間も旅をし続けているという通称ナター。この後二風谷に留まり約1ヶ月後に行われる「アイヌモシリ一万年祭」に参加するとのこと。そういうことならと以前私たちのカレンダーを使ってくれていたアイヌモシリ主催、山道アイヌ語学校のアシリレラさんに渡してもらいたいなと思い、カレンダーを彼に託しました。すると「このカレンダーは色々なところで見ますが、何か関わりがあるのですか?」と・・・。
ほんのひと時でしたが二風谷の風を感じる出来事、すべてはメッセージなんだな、と感じた出会いでした。
びらとり温泉ゆからに入って今夜の野営地を探し始めます。
(博物館とセットのチケットを購入すると、温泉200円引きになります。)

鵡川のほとり

鵡川(むかわ)のほとりの何もない河原に行き着きました。
薪を拾ってご飯を炊きます。
「まるで用意してあったかのようだ…。」と匠くん。
流木が一晩の焚き火分だけ河原に置かれているではありませんか。他には薪となる流木は見当たりません。まわりは木々に囲まれていて人里からも離れています。なんていいキャンプ地だろう、と思っていたら。
「草むらの奥からガサガサと動物の物音がする。鹿じゃない。もっと大きいような気がする。」
連日熊のことばかり気にしていたので、頭の中では「きっと熊にちがいない。」と思い込んでいます。2人で急いで食事の後を片付けて、いつでも車で移動できる準備をして眠りました。今宵は満月、何が起きても不思議じゃない。なんとも言えぬ神経を研ぎ澄ました夜でした。

厚真町

DAY13 (7月14日)
熊には遭遇しませんでしたが安心はできません。静かにお湯を沸かしてコーヒーを入れます。最後の薪が燃え尽きた頃、まわりに落ちているゴミを拾って、さぁ出発。立つ鳥後を濁さず、立つ人は来たときよりも綺麗に。

地図を見ると、札幌に向かう道中に厚真町があります。2018年の北海道胆振東部地震で被害の大きかった町で、OPEN JAPANが支援に入っていたところです。災害時、私たちは支援に入りませんでしたが、現在の状況を感じたく時間をとりました。
当時支援に入っていたバンちゃんに紹介してもらい、現在tacooというカフェを営みながら地域のコミュニティ支援活動をしている村上とも子さんを訪ねました。ちょうどカフェはお休みの日でしたが、すぐそばの体育館で体操教室をしているとのことで、地元の方にまじって一緒に参加させていただきました。

アート展農法

体操教室の後は地域の方へ地元食材を使った安心安全なお弁当を届けるということで、一緒に同行させていただきました。無肥料無農薬栽培アートテン農法でほうれん草を作っている農家さんのところへお届けした際に、葉が茶色くなっているほうれん草をひとかじりさせていただきました。
「あ、甘い!」
枯れているように見える黄色くなった葉っぱは完熟しているのだそうです。アートテン農法、宇宙のエネルギーで育った野菜は腐らずに枯れていくのだとか。まだまだ知らないことがあります。

tacoo

パワフルな村上さんとの出会いは出会うべくして出会ったかのように感じました。OPEN JAPANのご縁に感謝です。(ちなみにカフェのお隣は旦那さんのタクミさんが営むサーフショップtacoo、今日はサーフィン大会のために福島に行っているのだそうです。)

しまくま堂

DAY15 (7月15日)
旅の最後の夜は札幌に住む友人宅にお世話になりました。
ネット古本屋を営むヒロアキと東欧雑貨を扱う「しまくま堂」のサオリちゃんを訪ねました。
久しぶりの再会、時を経て変化した今を感じます。

ひろあきくんとさおりちゃん

2人と出会ったのは20年ほど前、お互い東京に住んでいたときのことです。当時の音楽、カルチャーをきっかけに仲よくなりました。サオリちゃんとは一緒にクラブカルチャーのフリーペーパーを作っていました。石巻出身のヒロアキのところへは引っ越し手伝いにご実家を訪れたことがあります。東日本大震災でヒロアキの実家はなくなってしまいました。思い出だけが蘇ります。

ひろあきくんとさおりちゃん

ヒロアキの扱っている古本を拝見させてもらい、オススメ本含め購入させていただきました。
サオリちゃんのハーブガーデンではハーブを株分けしてもらい、2人との楽しかった時間を思い出に苫小牧港に向けて出発します。

フェリー

「30分くらい早く着くかも。ちょこっと支笏湖寄れるかな。」
支笏湖かのあのなおきくんが自宅裏に最近作ったキャンプ場を拝見させてもらいました。森のようちえん「といとい」を主宰している奥様ナオちゃんと子どもたちも会いにきてくれました。2週間前に支笏湖から始まった北海道旅の軌跡を話します。30分立つのが早いこと!
時間ギリギリフェリーに乗り込みました。

すごい旅だった北海道。旅の余韻に浸る間もなく…。



関連サイト : tacoo ・ しまくま堂

歴舟川
歴舟川 
2022年7月12〜13日

DAY11(7月12日)
別寒辺牛川を出発し、目指すは日高門別川へ。ちょっと距離があるので道の駅などを経由しながらのんびりと北海道の景色を楽しみます。
「あれがタンチョウかな、鶴みたいだね。」
途中晩成温泉に浸かって一呼吸。ヨウ素を含む茶褐色の珍しい泉質の温泉で、目の前には海が広がっています。わたしたちが到着したときには一面の霧で、波の音だけが聞こえる幻想的な景色でした。入浴料500円、親切なことにタオル付きです。

歴舟川のほとり

思いの外ゆっくり旅となり、当初の目的地にたどり着ける余裕がなくなってきました。
行くつもりでいたキャンプ場に着く前に日が暮れます。さてどうするか。
自由旅のいいところは、目的地を自由に決められるところです。
4人で地図を見ながら、今夜は道の駅で泊まろうか、どのあたりまで行ってみようかと向かう先を探します。
「大樹あたりかなぁ。あっ、いい場所がある!」
「歴舟川のほとりにいいP泊場所があるじゃない、いつもわたしたちが使っていたあのトイレの綺麗なところ。」とケビパさん、ミエさん。
歴舟川、ひそかに気になっていた川でした。道中にあるので見るだけでもできるかな、と思っていた川のほとりでまさかのキャンプ。そして、翌日に歴舟川を海まで下ることに決定しました。予定していない旅の終焉は、流れに身をまかせて行き着くところに導かれました。

歴舟川

DAY12 (7月13日)歴舟川
小豆玄米ご飯、梅干し、味噌汁という精進的な朝食をとっていざスタート。
ケビパさんと匠くんは車の回送に。熊の目撃情報などをネットで見つけたミエさんは胸に護身用ナイフを忍ばせ、マービーが用心棒として森を静かに見守ります。北海道の自然の中で過ごすということは、常に野生との関わりを感じながら自分たちの身を自分たちで守ることが大前提とされます。野生動物のエリアに人間がお邪魔させてもらっていることを忘れてはなりません。

歴舟川

滔々と流れ続ける川の上に浮かびます。霧で先が見えず、瀬の音だけが聞こえます。
流れを見ながら右や左へとコースをよみます。
「あのテトラのエディに入ろう。」
タイミングが合わず、思いっきりIndian girlの先端がテトラポットにぶち当たりました。これは一大事、と思った瞬間です。
すかさず態勢を維持してそのままダウンリバー。何事もなかったようにカヌーは進みます。ゴールは海、波の手前で左岸に上陸してカヌーを引き上げました。
大きな傷になっていると思いながらカヌーの先端を見ると、傷にはなっていますが破れたり穴が開いたり塗料が剥げたりした形跡はありませんでした。
「このカヌーすごいね。」
テトラの角がステムバンドに当たったことも幸いしたのだと思います。
「こういうのも知りたかったんだよねー、実は。ぶつかってみたかったんだ。」
わざとではなかったようですが、念じていることは具現化するみたいです。

歴舟川河口

歴舟川の河口は太平洋へと注ぎます。
川から海へ、まさに旅の最後にふさわしいフィナーレでした。
4人でおやつを食べて記念撮影。
上杉夫妻はこれから港まで向かい、北海道を離れます。
楽しかった旅の終わりです。
思いの外、たくさんの時間ご一緒させていただくこととなりました。お二人のおかげで素晴らしい出会いと経験をさせていただきました。よく笑い、ときどき涙もありました。こんな楽しい旅、計画したって二度とできないと思います。本当に感謝しかありません。
旅の別れは寂しい気持ちになります。

4+マービー

今回の旅では、たくさんのガイドたちに出会い、彼らの守る川を案内してもらいました。
わたしたちが出会ったガイドはフィールドをガイドするだけでなく、生き方そのものを指し示してくれる人たちでした。彼らにW&C Canoeを使ってもらえたら…。
水辺に浮かんで話す言葉、使う道具、一つ一つの仕草、この一期一会の奇跡をどう感じ伝えていくか。100年以上の時を経ても変わらずにメッセージを運ぶことができるカヌーに乗って、 初めて経験する人たちへどんなメッセージを残していくか。
この世界を変えていけるのは、気づいた人たちから先導して一人一人の意識には働きかけていくことの継続だと思っています。大衆ではなく、個々の意識に働きかけること。ガイドとは、その道しるべなるところを案内する役目を担っています。この森が、この海が、この水が100年後も保たれますように、そしてそこに住む動植物が生き生きと暮らし続けら得ますように。人間はその美しい営みの中で、自由にどの世界にも行けるようになれる寛容さと節度ある生き方をしていけますように。

旅の間、ちょくちょく思い出していたのは、異なる意見や考え方を持った部族間を行き交って平和をもたらした一艇のカヌー、ピースメーカーの物語です。毎回、「今日の部族会議」なるものをしながら次の地へと移動していったように思えたものです。

ケビパさんはトルークマクトの話をしていました。『アバター』の映画に出てくる伝説の勇者の話です。村が危機に陥ったときに現れる伝説の戦士、トルークマクト。翼竜と一体となって村を救い平和をもたらします。W&C Canoeがトルークマクトのように、乗り手と一体化し今の世界に平和をもたらすものとなるのか。

こうして様々な物語を産み出したW&C Canoeの旅は一旦終わります。けれど、これは始まりのひとしずく、ここから始まる物語があります。100年以上前の、もっと遡れば人が舟を作って乗り始めた頃の記憶です。忘れられていたものを思い出すように、しまっていたものに光を当てるように、一艇のカヌーはやがて複数艇となり、いつしか世界を変えていくことができる…、そんな夢を描きながら。


LandEgdeのエッジにて
LandEdge
 2022年7月11〜12日

DAY10(7月11日)
浜中町でガイドをしている「LandEgde」芦田政雄さん(通称あしやん)に会いに行きました。 あしやんは元むつごろう王国だった広大な土地を引き継ぎ、「LandEgde」というガイドハウスを経営しています。
別寒辺牛川のツアーから帰って来たばかりのあしやんとスタッフのサニーにLandを案内してもらいました。BTM、シーカヤック、カヌー、アロマオイルの蒸留、民泊、まもなくキャンプ場も整備される予定です。ロケーションの素晴らしさと、手を入れてここまで整備した努力に圧巻。

別寒辺牛川

DAY11 (7月12日)別寒辺牛川
朝6時出発、あしやんがフィールドとする別寒辺牛川へ案内してもらいました。
この「べかんべうしがわ」のベカンベはアイヌ語でヒシの実のことを言うそうです。北海道の川や地名にはアイヌ語を漢字に宛てたものが数多くあり、その意味するところを知るのも興味深いです。

別寒辺牛川

あしやんの持つW&C Canoeも出して3艇のW&Cとキャンパーの4艇で下ります。 ここでもまたW&C Canoeと出会うことができました。

あしやんたちガイドは常に熊の気配に気を配り、熊に遭遇してしまったときの対処法などを教えてくれました。北海道のガイドたちは常に危険を伴う可能性を感じながらツアーをしています。自然の中に入るということは、常に人間以外の存在に気を配るということでもあります。

別寒辺牛川

「LandEdge」、エッジの効いた好き時間でした。
美しい馬たちも飼育されていて、かつて動物王国だったこの場所が、時を経てそこを守り生かす人のところへと受け継がれたのだという物語を見たような気持ちになりました。

今回の旅は上杉ご夫妻に導いていただき、かけがえのない出会いと経験を積ませていただいています。人生の先輩の懐の大きさに感謝です。チャレンジし続けることでまだまだ成長することができる、日々気づきと学びをいただいています。笑いと涙とともに。



関連サイト : LandEdge

Wood & Canvas Canoe Meeting
Wood & Canvas Canoe Meeting
 2022年7月9〜10

DAY8(7月9日)
塘路湖キャンプ場にてW&C Canoe Meeting。
北海道の村林さんの工房indian canoe craftでW&C Canoeを製作した上杉さんの呼びかけで、兄弟舟の仲間たちが集いました。水辺に並ぶ5艇のカヌーを前に、雨の中ずっと語り合っている男たち。
ミエさんとわたしはタープの下でせっせとおむすびを握ります。ふと見れば男たちはまだ雨の中でカヌー談義を続けているではありませんか。よほど楽しいに違いありません。

Wood & Canvas Canoe Meeting

「たくみくん、ランタン用意して。」
このまま日が暮れてしまうかと思うほど、いつまでもいつまでも雨すら気にせずに語り合えるなんて、まるで少年のようです。ああ、これがやりたかったのか…。カヌーとは時空を超えるもの、まさに時を忘れた時間を過ごしています。

とうろ湖

DAY9 ( 7月10日)塘路湖、琵琶瀬川
雨が降っていますが、装備をして塘路湖へ出ます。
静かな湿原を行く木と帆布で作られた手製のカヌー。
この100年以上前のカヌーの姿は時を超えて現代の風景となり、人々にメッセージを運ぶ道具となります。

琵琶瀬川

ミーティングの後は村林さんの案内で浜中町へと向かいました。
W&CCanoeで琵琶瀬川をガイドしている「風と土のナベタカ」のツアーがあり、そのタイミングでわたしたちも琵琶瀬川にカヌーを出させていただきました。

琵琶瀬川

琵琶瀬川をW&C Canoeで行くサンセットツアーを開催しているのは「風と土のナベタカ」の渡部貴士(通称タカやん)さん。この美しい景色の中を手製のW&C Canoeで旅します。タカやんはW&C Canoeだけでツアーをしている貴重なガイドです。漁師でもあり議員でもあるタカやんからは、カヌーだけでなく浜中町の魅力を伝えてもらうことができます。

インディアンカヌークラフト

川から陸へ。
浜中町に新拠点となる北方文化研究所の設立準備をしている村林さんのラボを拝見させていただきました。ここはこれからバイダルカやW&C Canoe、犬ぞりの製作・ツアーなどを通して、北の大地を愛する人たちが訪れる場所となっていく予定です。

霧多布

霧多布岬が眺望できる絶景ポイントにも案内していただきました。犬ぞりツアーの犬たちが夏の間涼しい気候で過ごすことができるように、こんな素晴らしいロケーションが準備されつつあります。まるで物語の1ページのような風景です。
他にも大工さんが増築しながら建てていった部屋数の多い一軒家などをこれから手を入れて暮らせるスペースとして活用して行く予定とのことです。

W&C Canoeの製作、研究、ツアーができる、海と山と川の魅力を伝えるガイドがいる浜中町。
そこに住む人と場所に会いに訪れたくなるところ、出会えてよかった、そう感じた時間でした。

追記:浜中町に入ると「ハーゲンダッツの故郷」との看板があります。ここ浜中町にはタカナシの工場があり、なんと国内で製造されているハーゲンダッツは浜中町産なのだとか。
COOP では濃厚なソフトクリームが食べられます。浜中町を訪れたら是非このソフトクリームをご賞味あれ。



関連サイト : 風と土のナベタカ ・ インディアンカヌークラフト ・ Outrider

とうろの宿
とうろの宿
 2022年7月8〜9日

DAY7(7月8日)
小川清史さん容子さんに会いにとうろの宿を訪れました。
とうろの宿は釧路湿原が見渡せる素晴らしいローケションにオーナーご夫妻がセルフビルドで立てたドーム型の素敵な宿です。
清史さんは宿のオーナーでありカヌーのガイド、そしてロックバンド「レッドウォリアーズ」のベーシストです。古いレコードプレイヤーを修理して使っているというわたしたちへ、なんとバンドのレコードをプレゼントしてくれました。

とうろの宿

とうろの宿では宿泊者のオプションとして清史さんが塘路湿原をカヌーでガイドしてくれるツアーがあります。釧路湿原で悠々と過ごしたい方は、ドームハウスから湿原が見渡せる「とうろの宿」へ。容子さんお手製焼きたて天然酵母パンと地元食材の美味しい朝食も魅力の一つ、1日のはじまりがハッピーになります。

今回の北海道旅は2017年の釧路川カヌーミーティングに参加したとき以来です。
清史さんからお誘いいただいたことのご縁で、北海道のカヌーでつながる方々とお会いすることができた貴重な機会でした。あの旅が今へと続いていることは間違いありません。
清史さんも釧路川を守っている人のひとり、この川を見つめ続けている大きな存在です。



関連サイト : とうろの宿 ・ レッド・ウォーリアーズ

わっかにて
釧路川
 2022年7月6〜8日

DAY5(7月6日)
釧路川ほとりに住む友人サナエちゃんに会いに行きました。なんと共通の友人おばPさんが笑顔で出迎えてくれました。今回の旅は偶然の出会いだらけ、もはや偶然なのか必然なのか…。

ハスカップ摘み

まずはこの季節の恵み、ハスカップ摘みに誘ってもらいました。北海道にしかない果樹で、主にジャムとして人気のハスカップ。ちょっと細長いブルーベリーのような果実で甘酸っぱいのが特徴です。 毎年サナエちゃんのジャムを楽しみにしている人がいるのだそうで、みんなでたくさんのハスカップを収穫しました。

釧路川源流

DAY6 ( 7月7日)釧路川
サナエちゃんと息子さんシュウシュウ、ひとり旅満喫中のおばPさんも誘って釧路川ダウンリバー。眺湖橋からサナエちゃんの家まで下ります。川から上がってカヌーを手運び、ゴールが家のほとり、川旅には最高のローケションです。
サナエちゃんは弟子屈町のサステナビリティコーディネーターとして地域に貢献する生活をしています。地場産のものを用いた飲食店ガイドの製作、自然環境豊かな町の魅力を生かした環境整備、アイヌの伝統文化を伝えるワークショップの開催など、人と環境がともに生かし合うまちづくりをしています。弟子屈町が魅力的な町となったのは、地元を愛する人たちが努力しているおかげです。サナエちゃんは料理の達人でもあり、おいしい手料理と楽しい時間でおもてなししていただきました。

わたしたちにとって釧路川を下ることは、この川のほとりに住む人に会いに来ることと共にあります。わたしたちが信頼するカヌーのガイドは、川旅の知識だけでなく、自分たちの生きている世界をいかに心地よくデザインし、何が大切なのかを伝える指針を持っている人たちです。自分たちの生きる世界を守り伝えて行くこと、釧路川の水は大切なメッセージを運んでくれました。

釧路川源流

DAY7( 7月8日)釧路川
朝10時前、わっかdesignを出発。川湯温泉に行こうとカーナビで案内されたルートで美留和橋を通ったときに見覚えのあるカヌーと車が見えました。上杉さん、高田さん、DSさんがカヌーを積んだ車から出て来たのでゴールしたのかと思って挨拶に行くと、これから釧路川を下るところだというではありませんか。ちょうど今、車の回送にきたところだったのです。 ここで出会ったのは偶然か、5分ずれても起こりえないこのタイミング。
「一緒にいかがですか?」
断る理由はありません。
急いでカヌーを積み替えて眺湖橋まで回送してもらいます。

釧路川源流

3日連続の釧路川ダウンリバー。川に呼ばれているのかカヌーが川を求めているのか。
「鏡の間」と呼ばれる釧路川のポイントで広島に捧げる水を汲ませてもらいました。今年の8月5日に太田川に献水するための水です。 水がわたしたちを運んでくれます。


仙台港
舟が船に乗る
 2022年7月1〜5日

DAY1(7月2日)支笏湖
仙台港から苫小牧港へ、一晩自由に過ごしているうちに海を渡ってカヌーは北海道へと上陸しました。偶然にもカヌー仲間2組のご家族が同じフェリーに乗船していたので、時間をもてあますこともなくあっという間の楽しい船旅でした。下船後は数日後に水辺で落ち合うことを楽しみに、それぞれの目的地へと移動、わたしたちはまずウポポイ、アイヌ博物館へと向かいます。

ウポポイ

アイヌの文化、歴史を学ぶ大きな施設です。アイヌの手仕事にはひとつひとつに意味や祈りが込められています。刺繍や木彫り、儀式を通して、カムイと繋がるその暮らし方からは、今の和人(アイヌではない日本人)が学ぶべきことがたくさんあるように思います。 カムイとは神と思われがちですが、自然界すべてのものに宿る霊力のことを言います。山や川、火や水、動物や植物に宿るとされるカムイですが、自然界のものだけでなく、人が作った道具にも宿るのだそうです。モノにもカムイが宿っている、そのことが深く心に刻まれました。

支笏湖
<Photo Rei Abe>

夕方5時、支笏湖にある「かのあ」に到着。ガイドのナオキくん、レイくん、ナルミくんが待っていてくれました。ナオキくん自作のWood&Canvas Canoeを浮かべ、みんなにもindian girlに試乗してもらいました。
「製作期間は?重さは?あ、これはみんなに聞かれるQ&Aだね。」
毎日カヌーを使ってゲストをガイドしている彼らからの意見や感想、アドバイスは有り難く、とても嬉しいものでした。カヌーを通して繋がっている仲間との縁を感じた夜。明朝はレイくんと千歳川をくだるという機会をいただき、出発地点で車中泊。

千歳川

DAY2(7月3日)千歳川、空知川
朝6時、千歳川源流でレイくんナルミくんと待ち合わせ。彼らのガイド仕事の前に千歳川を一緒にくだります。支笏湖から流れる千歳川、水量はほぼ一年中安定し、水は澄みとても綺麗な風景です。今の季節はバイカモの花が咲き始め目を楽しませてくれます。
「ヤマセミだ。」
人工物が全く見えない森の中を悠々と流れる千歳川源流部、まるでどこかの国の原生林にいるかのようです。途中カヌーを交代してWood&Canvasに乗ってもらいました。
8時上陸。ショートコースの朝漕ぎは清々しく、今回の北海道初の川旅となりました。

鉄道員

昼過ぎ南富良野で上杉家と合流。映画「鉄道員」の舞台幌舞駅の隣でご飯を炊いて一緒に昼食。
5年ぶりに「リトルトリー」大野くんと会います。大野くんはOldtownというカヌー会社の100周年記念モデルのW&Cカヌーを積んで来てくれました。
川に向かう途中、フォーチュンベーグルスに寄ってご挨拶。
ベーグルは売り切れてしまっていましたが、店主のアキさんタ子さんに会えた嬉しい時間でした。

空知川

「よしプランCでいこう。」
Aプラン、Bプランと、どこを案内するかずっと考えてくれていた大野くん、コンディションを見て空知川へと案内してくれました。上杉家のW&Cカヌーアラガッシュ、大野家のoldtown、そして完成したばかりのindiangirl、3艇のW&Cカヌーでダウンリバーです。いつかこんな日が来る、と思っていた夢が現実になった瞬間でした。ありがたいことに帰省中の息子さんタケルくんもサポートしてくれて、とてもいい時間を過ごさせていただきました。
夜は大野家の素敵なログハウスにお世話になり、梢ちゃんの手料理に感動し、5年間という歳月の間に大きく変化した大野くんたちの暮らしを感じながら、素晴らしいおもてなしを受けました。彼らから受けた刺激は冷めやらず。生き方や暮らし方からも刺激しあえる仲間がいるということに喜びを感じます。今回の旅がW&Cカヌーに導かれているなぁと思いながら次の水辺へと向かいます。

チミケップ湖

DAY3(7月4日)チミケップ湖
「チミケップ湖に浮かべたらすごくいいと思うの。」
上杉ミエさんの一声で今夜のキャンプ地はチミケップ湖に決定。雨でもかまわず、湖畔にタープを張ります。今夜は湖のほとりでキャンプです。静かな湖畔は心にも影響を与えます。

釧路川

DAY4(7月5日)釧路川
8時、釧路川源流部、「SOMOKUYA」ツッチーと待ち合わせ。「ぢぢカヌー」のぢぢさんも来てくれて4艇でダウンリバー。上杉家6年ぶり、わたしたちは5年ぶりの釧路川です。

釧路川

倒木をくぐり抜けながら、この川の持つ力、水からのメッセージを感じる時間でした。
夜はツッチーのところにお世話になりました。
涙なしでは語れない深くて大きな魂の声を聞く時間。ツッチーの息子渉介くんもこの物語に参加してくれました。彼は現役高校生ですが、大人の夜更かしに付き合ってくれました。いつか時を超えてこの話が思い起こされるときが来る、かもしれません。



関連サイト : 支笏ガイドハウスかのあ ・ リトルトリー ・ フォーチュンベーグルズ
SOMOKUYA ・ ぢぢカヌー
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