進水式

瀬戸内伝馬船 進水式 2013年8月31日(土)

こういう日は、目覚まし時計よりも早く起きてしまう。
7時30分、仕事場に集合。風が無く、すがすがしい朝だ。やはり天気は大丈夫だった。結果から話すと進水式は大成功。高松に着いてから45日間が伝馬船に乗ってどこかへ行ってしまうような気持ちの良さを一瞬感じることが出来た。終わった、全部終わり、片付けが残っているのは今は考えなくても良い。
進水式は芸術祭の総合ディレクターの北川フラムさんの挨拶に続き、ダグラスが日本語で挨拶。前日までに俣野さんがダグラスの言葉を翻訳しローマ字におこした文章を、ダグラスが日本語で話す。当初は英語で話すと言っていたダグラスだが、今回は日本語でがんばって良かったと思う。続いて俣野さんが船を命名。名前は「朋友丸(ほうゆうまる)」この芸術祭で仲間になったバングラデシュ人や日本人の思いを乗せた命名。「Good Friend」という意味のベンガル語「バローボンドゥ」を同時に発表した。バングラデシュ人が喜んでくれていたのは言うまでもない。儀式の後、日大芸術学部のクラさん率いる学生のみんなが船を担ぎ、かけ声と共に進水させる。僕とダグラスが乗り込み水の上で左回り(取舵方向、「魚を取り込む」という意味で縁起が良いので。)に3回まわる。ダグラスは櫓(ろ)を漕ぎ、僕はパドルで漕いだのだが、思っていたよりも動いた。愛知芸大のせいちゃんのホラ貝みたいな音が鳴る創作楽器が汽笛のように鳴り響く。バングラデシュの仲間が演奏を始める。そして四万十塾のとーるさんを筆頭にカヌー部隊が次から次へと水に浮かび、場が賑やかになる。
和船は最初の乗船者を乗せる。最初の乗船者は昔から女性と決まっているというので、毎日のようにベンガル島全体のお世話をしてくれているアートフロントギャラリーの加藤さんと、毎日僕たちのお世話をしてくれているよし子の2人がまず乗船。そしてフラムさんと俣野さんとでみんなの元に戻り、よし子が数日前から準備していた記念品を包んだ紙袋を船上からみんなに向けて撒き進水式を祝った。
この日は他にもファッションショーなどのイベントが開催された。ベンガル島の島民がみんなで自分たちの島のために島を盛り上げている。自分たちの作り上げてきた物で自分たちが楽しむ。バングラデシュがそうなのかは分からないが、人が集まって1つの区切られた空間に同居すると、自然発生的にそうなるんだなぁと感じた。(匠)

※上の写真は井上真輔さん撮影
※和船共の会の冨永真哉真さん撮影の当日の動画 http://youtu.be/supFXGcwWoM

本日の様子


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トレーラーに和船

進水式前日 2013年8月30日(金)

「あと何をやったら完成?」とダグラスに聞くと、「もうやる事無し」と。「ってことは完成?」「完成です。」「早く言ってよ。」と握手。完成した喜びに浸るのは後にしよう。と今できる事をやる。
今日も雨が降ったりやんだりの空模様。明日の進水式、雨は降るはずがないと準備を進める。夕方、アートフロントギャラリーの下岡さん他、進水式に関わるみんなが集まって最終的に「明日はやる」で決定。あとは前に進むのみ。和船にはシートをかけ雨水がたまらないように養生。隣では愛知県立芸術大学のせいちゃんが進水の合図のための創作楽器の仕上げをしている。
日が落ちる前、四万十塾のとーるさんがトレーラーを引いて会場に到着。みんなでトレーラーの上のカヌーを降ろして和船を積めるようにラックを解体。僕たち和船チームだけでなく芸術祭に関わる沢山の方々、そして遊びに来てくれた方々が手伝ってくれた。
無事にトレーラーに和船を積み込み「よし!一杯飲みに行くかぁ」と行きたいところだったが、夜は家に帰って、明日の進水式に来てくれた人たちに持って帰ってもらう記念品の製作。自分でも得意だと思っている消しゴムはんこを昨日までに制作したので、今晩はそれを押しまくる作業。お隣さんSKIN PROJECTの佐藤いちろう君から借りた超強力スタンプインキはホント超強力。手についたらなかなか取れない。色々な仲間の協力で進水式までたどり着いたこともあり、自分の力もフルパワーを発揮しないとな、そのためには・・・・と早く寝る事にした。明日は晴れるに決まっている。(匠)

本日の様子


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夜の和船

練習 2013年8月28〜29日

進水式に向けて準備を進めています。港近くの浜辺にてカヌーの朝練をはじめました。8時スタート、レクチャー後さっそく海へ。参加者6名、カヌー2艇。交代しながら10時までみんな猛烈に楽しんでいました。地元カヤッカーも参加して、明日もやろうということになりました。急いで着替えて10時30分から和船作りです。
進水式に向けてバングラデシュ語で歌の練習もはじめました。昨日はひとりで作業をしていて、道具に困り絵描きのバングラデシュ人デブーに筆とペンキをかしてもらいました。デブーがバングラデシュの船の絵を描いてプレゼントしてくれました。すごく嬉しかったです。
日々、出会った人とのご縁こそ宝と実感しています。仙台から高松に引っ越してこられた久美子さんにはとてもお世話になりました。キッチンを貸していただいたり島に連れて行ってもらったり、ヨガやタロットのご縁もつくっていただきました。毎日のように大吉(ワンちゃんです)のお散歩にベンガル島を訪れてくれます。
この暑い中ともに灼熱地獄で物作りをし続けてきたバングラデシュの作家たちとも、言葉を超えて仲よくなりました。バングラデシュには「よ」という発音がないらしく、誰も名前をよんでくれません。今日は竹細工職人にバングラデシュの名前をつけてもらいました。(よ)

本日の様子


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津田孝さん

船大工 津田孝さん 2013年8月27日(火)

瀬戸内国際芸術祭で行っているこの和船制作プロジェクト「船と船を作る人」は、1987年にダグラスが直島に住む船大工、津田孝さんと出会ったところから始まる。
そして、今回のプロジェクトをスタートさせるために俣野さんが何度も直島を訪れ、津田さんと話しプロジェクトの内容が固まっていった。今年89歳になられる津田さんと一緒に作業をする事はかなわなかったが、俣野さんが定期的に作業経過など、写真を添えて報告をしていた。
今日は火曜日、僕たちにとって最後の休日のこの日に、今週末に行われる予定の進水式の前に会いに行こうと俣野さん、ダグラス、そして先日戻ってきたシテンと僕で、現在津田さんが住む倉敷に車を走らせた。
お昼過ぎに津田さんに会うと、「遠いところどうもありがとうございます。」と何度も僕達に言っていた。みんなで一緒に数枚の写真を見ながら話しは細かい作り方の技術の話しに。なんとかこの部分の作り方の説明を目の前にいる僕達に伝えたいという気持ちがヒシヒシと伝わってきた。実際に写真を指しながら「ここ大変だったやろ」と津田さん。「はい、大変でした」と僕達。「ここをやるときはこうするとやりやすいんだ」とノートに鉛筆で絵を描いて説明をしてくれる津田さん。「おおぉ、すごい、これはいい、やる前に話しを聞いておけば良かった。」と僕達。といった周りにいる人が聞いても何の事やらといった貴重な会話が約2時間続いた。「写真を見ると一緒に作りたくなってしまうな・・・」と、ちょっと寂しそうに笑いながら話していたのが、心に残る。
約1ヶ月間、自分で実際に船をつくりながら、自分なりに消化してきた。その船つくりに関する工法や技術、そのすべてが確かに目の前に生きているこの体の中に入っている、そしてまだ聞いていない過去を勝手に想像して、津田孝さんという人間の大きさを感じた。
津田孝さんの名に恥じない伝馬船をつくりたい。進水させるまで後4日、気を引き締めていかなきゃと、帰りの車の中、瀬戸大橋を通りながら思った。 (匠)

本日の様子


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進水式の打ち合わせ

進水式にむけて 2013年8月26日(月)

今週末の8月31日に進水式をする事が正式に決定し、それにむけての準備がちゃくちゃくと進む。もちろん和船が完成しなければ進水式もないので、最優先は日常の和船制作。
そして大変なのが進水式の段取り組みだ。進水式には、この芸術祭に関わる多くのアーティストが参加する事になってきている、もちろんここベンガル島のバングラデシュ人も。沢山を巻き込んでの進水式、みんなの味を最大限に引き出すためにはやっぱり式の進行を固めておく事が必要だ。ベースがしっかりしていればみんなが安心して自分の持ち味を出す事ができる。他の仕事も忙しい中、それを担当してくれている下岡さん、松本さん、片山さん他、関わる全ての皆様には、始まっていないのにすでに感謝の気持ちでいっぱいである。
もう1つ裏で密かに進行している進水式の準備、それは31日の当日に来て下さった方々のお楽しみ・・・かな。 (匠)

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櫓のテスト

櫓(ろ) 2013年8月25日(日)

雨が降り続いています。朝8時45分、知り合った地元の有田くんとベンガル島で待ち合わせ。有田くんは伝馬船を持っている青年で、興味を持って何度も制作場に足を運んでくれています。進水式に使う櫓を探していたところ、快く貸してくれることになりました。有田くんがフェリーの仕事から帰ってくる朝 のタイミングでマリーナまで案内してもらいます。ヨットとヨットの間に停まっている木造の伝馬船と櫓には柿渋が塗ってありました。かわいがっている様子が伝わってきます。繋ぎ合わせるタイプの櫓を貸してもらい、作業場に持って帰って繋げる作業をします。
あまりの大雨にベンガル島は午前中お休みモードになっていました。昨日も今会期始まって以来発のライブ中止という事態になり、雨の影響を受けています。わ たしたちの和船作りは雨でももくもくと進めています。展示品と違い、公開制作中の作品であり、進水式までに完成させなければなりませんので雨でもお休みはできないのです。こんなお天気でも訪れてくれる方がいるので、それはそれでなんとか船作りも楽しく進めています。 (よ)

本日の様子


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雨

雨のベンガル島 2013年8月24日(土)

昨夜から雨が降っています。風も吹いています。
今日はいつもより早めにベンガル島に向かいました。思った通り天井には水がたまり、中には雨が吹き込んでいました。昨夜のうちに雨対策をしていたので和船ブースは大丈夫でしたが、他のブースは水にぬれてしまったものがいくつかあったようです。とりあえず島を一回りして水をはけさせました。
貯水率が20%と聞いていたので、雨乞いでもしたほうがいいのではと思っていたところでの雨。作家さんや観光客には不便さを感じさせますが、大きくとらえれば恵みの雨かもしれません。
東北地方では水害に発展しており、日本は今誰もが水の影響を受けています。

It has been raining since last night. Also the wind is blowing.
We went to the Bengal Island early today. Water collected in each booth as expected. Takumi was turn on the water at each booth before our work. However, it is rainfall eagerly longed for because this district was shortage of water.

夏の会期終了まであと8日、船も8割ほどが出来ました。なかなか美しいかたちです。写真を撮る人が増えてきました。ベンガル人もちょこちょこ見に来ています。
今日はコベリを加工しています。サンダーやカンナがけは雨の日には向いていませんが、なんとか工夫して今日ももくもくと作り続けています。
岡山から友人ユキオくんが彼女を連れて会いに来てくれました。ベンガル島をぐるっと一巡りし、楽しい夜を過ごしました。

It is another eight days until the end in this art festival. Our boat is building beautifully, people took a picture a lot. The Bangladeshi is interested in it, too. We making Koberi today.
Our friends came to visit from Okayama in the evening. I guided them to Bengali Island.

瀬戸内伝馬船の進水式の日程が決まりました。
8月31日(土)9:30〜10:00
高松港のマリーナにて行います。
この日は己巳(つちのとみ)、弁天様を祀る日です。

The launching ceremony was decided. On Saturday, August 31, it is from 9:30 a.m. to 10:00
The place is a marina close to the Takamatsu Port. (Yoshiko)

本日の様子


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和船の形

ヨガと玄米ランチ 2013年8月23日(金)

和船作りも細かいパーツ作業に入りました。匠はスノコと呼ばれる船内のデッキ部分を作っています。先日までの真剣な顔にも余裕がみられるようになり、訪れる 人も気軽に声をかけやすくなったと思います。隣や近くのブースの出展者とのコミュニケーションも頻繁になってきました。進水式に協力してくれる仲間たち、そんな感じで盛り上がっています。昨夜に引き続き、アートフロントギャラリーの下岡さんと今夜も進水式の打ち合わせをします。すべてのことをあらかじめ決めて取りかからなければならないので、気を引き締めて進めていこうと思います。

We have a meeting to make a arrangement of the launching ceremony of the Japanese-wooden boat tonight.

中央公園近くのマンションにて、ヨガと玄米ランチを楽しむ会を催しました。ヨガで体をほぐしたあとは楽しく料理をして体を整えます。メニューは車麩のフライ、トマトとベビーリーフのサラダ、カボチャと茄子のソテー、オクラの胡麻和え、ジャガイモジェノベーゼ、キュウリと茗荷の冷製味噌スープ、赤米入り玄米にごま塩と梅干、デザートはキウイのシャーベット蕗のアンジェリカのせ。タイゲンさんが送ってくれたブドウもいただきました。小豆島のオリーブオイルやつよし流の自然農で育てたお米など、食材もとても豊かなものを用いることができました。そのあとはカードリーディングをさせていただき、あっという間に時間が経ちます。初めての地でこのような機会を与えていただきましたことに感謝します。ふっくら炊けた玄米や野菜や麩だけを用いた料理に興味を持っていただけたこともとてもうれしかったです。

I held the meeting which teaching yoga and cooking brown rice & vegetable dish today near the Central Park on the noon. I am grateful that Kumiko-san has given me this kind of opportunity. I'm pleased they're interested.

暑いベンガル島に埼玉からよっちゃんが訪れてくれました。わたしはお会いできませんでしたが、匠が楽しく時間を過ごさせてもらったようです。

Our friend Yocchan came to visit to building of Japanese-wooden boat. (Yoshiko)

本日の様子


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伊吹島

IBUKI Island 2013年8月21日(水)

高松から車で約40分の観音寺港からフェリーに乗って25分、「いりこ」で有名な伊吹島があります。瀬戸内国際芸術祭の夏の会期に参加している島で、たく さんの人が作品を見に島を訪れています。みかん組のラボは坂がきつく、訪れる人が少ないそうですがとてもいいロケーションにあり、島の伝説や風習を調査し た研究室は興味深いです。(上の写真はエアードームにサインペンだけで瀬戸内海の風景を360度描いた、大岩オスカールさんの作品)
今日は岡山在住の落合ゆりさんがベンガル島を訪れてくれました。昨日から小豆島めぐりをしていたそうです。ベジタリアンの彼女から高松市内のお店情報を教えてもらいました。
和 船づくりも佳境に入ってきました。誰が見ても船という形ができてきて、訪れる人の目を楽しませています。仲よくなったバングラデシュ人のペインターにお願 いして、伝馬船のトモ(後部)にバングラデシュの国旗と日本の国旗を描いてもらいました。船の完成が見えてきたところで、進水式の式次第を決めに取り掛かりま す。45日間共にこの暑さの下で作品作りに励んでいる作家たちと一緒に、みんなで船出を祝いたい、そういう気持ちになってきています。
今夜は満月。とてもきれいなお月様です。夏の会期終了を意識し始める頃となってきました。(よ)

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担当に別れて作業

Day 28th、そして火曜日はお休み 2013年8月19〜20日

ウワダナが本体にくっ付いた事で大まかな「船の形」ができた。あとはパーツパーツの細かい作業。細かいと言ってもカジキやウワダナの取り付け加工に比べると細かいというだけで実際は結構大きなパーツの加工となる。それぞれ担当部分を決めての個人プレイ。僕はスノコ(床のような部分)を取り付ける担当。家で言う根太となる床受けを作るところから。曲げられ捻(ひね)られているカジキの面にぴったりと木口を合わせるためにはちょっとしたテクニックが必要となる。これが結構面白い、細かい床受けも含め数本の加工をするのだが1本ぴったり合うと、とても気持ちがよく「よっし、この加工の事なら全部オレんとこにまわしてこい!(普段、僕は僕の事を「ボク」って呼ぶ)」って心の中で思いながら何も言わずにコツコツと1本1本仕上げていく。船の中に入ったり出たり、もっと効率がいい方法は無いかな・・・・と思うのだけれど念のため船の中で丸ノコを使うのはやめておこうと、計るのは中で、加工は外でを繰り返す。「これ、足の短い人は大変だなぁ」とか思いながら・・・。なんてね。
20日は、のんびりする予定だったけれど気がつくとベンガル島にいる自分。隣のブース「SKIN PROJECT」では漁網や漁具を再利用した作品を展開。そんなこともあり地元の漁師さんと仲が良いアーティストの佐藤いちろう君と、以前から美味しいお刺身を食べようと今晩の魚パーティーを企画。総勢13人、日中暑く太陽ギンギンのベンガル島では話す事を忘れてしまっていた事(なんだそれ?)などを色々とみんなと話しをする事ができて面白かった。ハマチ美味しかった。
という訳でゆっくりとではあるが、ベンガル島に島流しにあった僕達を含めたあらゆる人種が、だんだんと仲良くなってゆく姿を僕は見たり体感したりしている。そんな今という時間が結構面白かったりするものだ。 (匠)

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ノウカ

ノウカ進水式 2013年8月18日(日)

芸術祭の中では船を作るプロジェクトが2つあり、1つは僕たちの和船、そしてもう1つはバングラディシュの船「ノウカ」である。いくつもある伝統的なバングラディシュの船のうちの1つで、現地では実際に交通の手段として使われている船だ。ノウカ、ノウカノウカノウ、カノウ、カノー、カヌー。
今日はそのノウカの進水式だ。昨日までの呼びかけもありバングラディシュ人、日本人などなど大勢の方々がこの進水式に集まった。毎日のように僕たち会場のみんなとコミュニケーションをとり仲良くしていたノウカのコーディネーターであるワサマがこの船の製造過程、そしてバングラディシュの船の文化を守るという視点から見た現状をみんなの前で話してくれた。命名された船の名前は「ベンガル号」・・・全くヒネリが無いけれど音は悪くないかな。
そしていよいよ進水。みんなの手でゆっくりと運ばれ着水、ハリムとフォジョン、そしてワサマがが得意そうに船に乗り込む。ベンガルの楽隊がノリの良い音楽を奏でみんなで歌う。その歌はベンガル語なのでもちろん僕たちには理解はできないし歌えるはずは無いのだけれど、つい歌うというか口ずさんでしまう歌。俣野さんと僕でカヌーの前に何人かを乗せて海上を並走する。
明日の朝10時くらいの関西空港発の飛行機でノウカチームの3人は日本を離れる。だから今日が彼らにとって最後の日。1ヶ月一緒に同じベンガル島の中で過ごした時間が思い起こされる。英語日本語ベンガル語、言葉は無くても同じ船を作る者同士で通じ合うものがすごく沢山ありすごく刺激になり、楽しい時間を一緒におくる事ができた。
お昼に「次はバングラディシュで会おう」と、お別れをしたノウカチームだったが、急遽、夜に彼らが泊まる宿舎で開かれるパーティーがあると聞き、よし子が人脈を駆使しそのパーティーに出席できるよう段取ってくれた。僕達4人と町中に宿を取っているワサマ、そして本日仲良くなったバングラディシュに精通するチカコさんと共に車で約30分のところにある彼らの宿舎に向かった。宿舎のつくといつも顔を合わせているバングラディシュ人がなんだかオフな感じ。昼間の炎天下、外で作業している姿ばかりを見てきたので、室内でくだけた感じの彼らを見るのはちょっと新鮮だった。
パーティーというか・・・大臣など偉い人の長い話し(バングラディシュ人の人前でのスピーチは偉い人になればなるほど長いという。)×3を聞いた後、今週ベンガル島のステージで演奏をしてくれている音楽隊が聞き覚えのある歌を披露してくれてみんなで踊っていた 。お酒を飲んではいけない国の人たちだが、「けどお酒は飲む」と聞いていたのでとっておきの日本酒を差し入れをしたら結構な勢いで減っていった。そしてノウカチーム3人と本当にお別れの挨拶をして僕達は家に帰って眠った。
和船の進行状況はというと、今日はウワダナを釘で打付けとところまで。これで大きく見たら5枚の板で船の形が立ち上がった事になる。船の形になったので「もうすぐ完成ですか。」とみんなが声をかけてくれるけれどダグラスが言うにはまだ6,7割。まだまだ細かい作業が沢山残っている。うまくいけば、残り約2週間まるまるかかっての完成となりそうだ。 (匠)

本日の様子


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ノウカ

ベンガル語講座 U 2013年8月17日(土)

夜明け前に目が覚めました。朝食と昼食用のお弁当を作ってから時間があったので、自転車で海まで行ってみました。ベンガル島のもっと先に桟橋があります。釣り人が糸を垂れ、遊歩道はジョギングやウォーキングの人たちで流れができています。自転車で走り抜けながら海を見るとたくさんの船が行き来していました。瀬戸内海は海上交通が盛んに行われています。

I awoke before dawn. I went to see the sea after prepared for today. There is a pier in the point of the Bengal Island. There were a lot of angler and jogging and people who walked there. There were a lot of boats on the sea. It is the state where a person is very close to the sea.

先週に引き続き、国際交流会館でベンガル語講座を受講してきました。今回で最後、たった2回のクラスではありますがバングラデシュの文化や言葉に触れることができてとても興味深かったです。国や宗教や人種が異なる人たちとのコミュニケーションは、まずお互いを知ろうとするところから始まります。言葉を覚えようとすれば相手も理解しようとしてくれます。通じないものが通じるようになるのはうれしいことです。 今日バングラデシュの川船ノウカが完成しました。明日が進水式、そして明後日には彼らは国へと飛び立ちます。仲よくなったこのプロジェクトのマネージャーのワサマ、船大工のハリムとフォジョンともお別れのときが近づいています。

I learned a Bengali lecture today in an international center. Learning Bangladeshi culture is very interesting for me. I am glad to be able to make Bangladeshi friends. A Bangladeshi boat called Nouka was completed today. It will be the launching ceremony of the boat tomorrow. They go them country the day after tomorrow. As for the time that we spend with them, there is few more it. (Yoshiko)

本日の様子


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一緒にランチ

トルカリ 2013年8月16日(金)

今日はベンガル人のために日本食ランチの差し入れをしました。 彼らはベンガル料理のシェフが作ったカレーを毎日食べています。バングラデシュではカレーのことをトルカリといいます。今日のメニューは魚カレーとダル(豆)カレー、バジといわれる野菜の炒め煮、そしてパラパラの白米でした。テーブルの上に作ってきた日本食を並べました。事前に通訳さんから味の好みや癖を聞いていたので、薄めの酢飯で作った海苔巻とお稲荷さん、ゴマをまぶした子にぎりの3種を40食分作りました。反応はなかなかよく、通訳さんたちにも喜んでもらえ、きれいになくなりました。わたしたちも初めてトルカリをいただきました。サラサラのスープのようなカレーにごはんを混ぜて、彼らにならって右手で食べました。はじめて一緒に食事をしたことから距離がぐっと近づいた気がしました。

Me & my friend Kumiko cooked the Japanese lunch for a Bangladeshi today. The Bangladeshi eats curry called torr curry every day. They ate the first Japanese foods with interest. We ate torr curry for the first time. I feel like having been able to make friends by having a meal with them.

ウワダナをカジキと合わせるのは難儀な作業のようです。船大工3人、結構てこずりながら慎重に、丁寧に、割れないようにと息を合わせて作業に没頭しています。どうやら彼らにしかわからない微調整があるようです。

They did the work of the upper side plank very seriously. It seems to be very difficult. They working by the skill that only they understand. it works the plot thickens. (Yoshiko)

本日の様子


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ウワダナを合わせる作業

終戦記念日 2013年8月15日(木)

第二次世界大戦太平洋戦争終戦の日、みなさんはいかが過ごされましたか。
電車でベンガル島に向かう途中、家々の前を通るとテレビの音が聞こえてきました。慰霊祭や平和への祈りのニュースを聞いていたのでしょうか。先日バングラデシュ人がお休みをとって広島に行ってきたと行っていました。原爆ドームや資料館を見てきたそうです。

The Bangladeshi went to Hiroshima and observed the A-Bomb Dome and the museum the other day. Today is the anniversary of the end of the Pacific War.

今日はサプライズで徳島からつよしくんひろみちゃんご夫妻が訪ねてくれました。お忙しい時間の中、会いに来てくれてとても嬉しかったです。つよし くんは匠がスタッフとして過ごしていた四万十塾の兄弟子、津波直後の石巻でも一緒に時間を過ごした仲間です。徳島県の神山で自然農でお米を作っています。 1月に伝馬船に使う木の切り出し前日に訪ねたときに、ひろみちゃんという素敵な女性を紹介してくれました。5月にめでたくご結婚、2月には家族がもう一人 増える予定です。

Our friends visited from Tokushima today. He brings up rice by natural agriculture. He married a beautiful woman the other day. He was a canoe guide in Takumi's seniors.

ベンガルの船ノウカの進水式が18日に決まりました。わたしたちも招待されており、その打ち合わせにアートフロントギャラリーの下岡さんが見えました。
夕方明日に企画している日本食ランチの仕込みのため、知り合った高松在住の久美子さんのキッチンをお借りして準備と打ち合わせをしました。夜はアイリッ シュパブのお兄さんの誕生日に顔を出し、一杯飲んだところでカウンターに入ってお手伝いをすることに。ひと区切りして早めに帰って明日の仕込みをします。 明日はバングラデシュ人のまかないカレーランチに日本食を差し入れしようとたくらんでいます。

The launching ceremony of the boat of Bengal was decided. We were invited to it. I intend to cook japanese lunch for a Bengali tomorrow. (Yoshiko)

本日の様子


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瀬戸内海歴史民俗資料館

瀬戸内海歴史民俗資料館 2013年8月14日(水)

朝7時、バングラデシュの船大工さんたちを迎えに行き、瀬戸内海歴史民俗資料館に行きました。和船作りにアドバイスをくださる織野さんはこちらの学芸員さんで、この日館内を案内してくれました。
日本の船を前に、バングラデシュの船大工さんたちも興味深そうに見ています。写真を撮って、通訳してもらった説明を熱心に聞いています。カンコブネ、伝馬船、機帆船、民具、農具、道具、フナダマ、農耕儀礼の雨乞いの龍など、たくさんの資料を拝見させていただきました。

We visited to Seto inland sea historical Museum with a Bangladeshi boat builders. They observed the Japanese old boat very eagerly.

ベンガル島に戻り、午後から作業をはじめます。 今日は万力で固定してあるウワダナをゆっくりとカジキと合わせていく作業です。カジキとウワダナの間にスリノコを入れていきます。匠は和船を作る作業の中で、このスリノコスリアワセという技を体得したようです。

We came back to the Bengal Island and continued our work from afternoon. We do the work that lower side plank adjusts upper side plank today. Takumi understood the Surinoko technique by experience.

シテンも誘ってみんなで夕食、にぎやかな夜でした。 毎日があっという間に過ぎていきます。

I feel very fast day by day. (よ)

本日の様子


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ファイヤーワークス

花火 2013年8月13日(火)

今日は高松港で花火大会があるため、ベンガル島は休島になります。今日からお盆の入りです。いつも通る道に琴平神社という神社があります。鳥居に 茅の輪がつけられていて、15時からお接待とありました。おみくじをいただき、ジュースと福引、そして手相もみてもらいました。おみくじは大吉でした。そ の足でこちらで知り合った岩淵さんのお宅で浴衣の着付けを教えてもらい、高松港へと向かいます。
とにかくすごい人です。昨夜来たゲストのシテン(日本人) と俣野さん、匠と合流し、一緒に花火を見ました。6000発の花火は圧巻、とてもとてもすごくよかったです。
俣野さんが精密ドライバーでMacを解体してくれました。バッテリーを外し、いろいろ見てくれました。残念なことにハードディスクも読み込み不可、何一つ残らずすべてのデータとお別れです。 (よ)

琴平神社と花火を見る人


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船の形が見えてきた

ウワダナ 2013年8月10〜12日

10日朝、わたしは国際交流会館でベンガル語講座を受講してからベンガル島に向かいました。船大工たちはウワダナと呼ばれるカジキの上にくる横板を加工する作業をしています。木と木を合わせるところにはスリノコを入れていきます。暑い中での作業、かなり体にこたえています。
夜東京から藤田家&南米旅帰りのジュンペイがやってきました。わたしたちも夜の高松をはじめて体験し、船についてのロマンや島国の生活についてなど、夜中まで語り合いました。
実は今日、わたしのカバンが盗まれるという事件が起き、PC、スケッチブック、お金、その他もろもろを失ってしましました。なんとか戻ってくるよう念じるしかありません。

11日、今日は忙しい日でした。日曜日とあってたくさんの人がベンガル島を訪れました。ウワダナにツバノミで穴を開け、埋め木を作ります。ボランティアの小エビ隊成瀬さんもお手伝いしてくれました。 わたしは警察を2往復しました。ありがたいことにカバンが発見されたのですが、池に浮かんでいたらしく、すべてが水に濡れてしまいました。盗られたものはお金だけ、購入したばかりの桐下駄が片方紛失、それ以外は戻ってきましたが、PCは壊れてしまいました。描いたばかりのスケッチブックが戻ってきたので乾かしています。夕方、お米を生産者さんから直接購入させていただく約束をしていたので車で送ってもらって法燃寺の近くまで行き、30kgのお米を持って帰ってきたときには夜、ライブも終わっていました。

12日、明日からの花火大会の準備で駐車場が使えなので、各々現場集合で出かけます。匠くんははじめて運転をお休みできるので、今日は自転車を譲りました。わたしはみんなの昼食を作ってから「ことでん」という電車で現場に行きました。 今日はカジキにウワダナを合わせていきます。万力で固定してあたりをつけます。だんだん工房が狭くなってきました。 (よ)

ウワダナを取り付ける作業


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ラロンの歌
サンポート高松 2013年8月9日(金)

高松港エリアにはサンポート高松というビルがあります。そのシンボルタワー棟にはWifiスポットがあり、地図や観光案内情報もここで手に入ります。冷房がきいた室内には机と椅子があり、ベンガル島からこちらに来てデスクワークをするのが私の日課となっています。
同じビルの4F5Fでは「プロジェクションマッピングの世界〜デジタルアート表現の最先端〜」が開催されています。プロジェクションマッピングとは三次元の立体や造作のある対象物の形に映像を張り合わせてつくる映像アートです。入場無料、8月18日まで開催されているので、待ち合わせや涼をとるのに利用してみるのもいいと思います。

There is a free Wifi space in the sunport building at the Takamatsu Port. I use my PC there almost daily. It is very comfortable space. There is the desk and the chair and the air-conditioner is working. The exhibition of the digital art picture work is seen free in the 4F 5F in this building.

今日の伝馬船は、昨日合わせたカジキを打ち付ける作業です。ツバノミで穴を開け、船釘を打ち込みます。連日の暑さと無理な体勢での作業にみんなの疲れが見え始めました。

Today's boat work nail the under side plank and the bottom. Everybody begins to be tired soon. We need a break in the daytime because it is very hot.

今日で第2グループのバングラデシュのアーティストたちの演奏が最後でした。一日も逃さず聞き入ってしまうほど、とても素晴らしいアーティストでした。ラロンという詩人の歌を歌っているフォリダパルビーンさん、ドータラ(2弦楽器)、バシ(横笛)、トブラ、ドール(太鼓)の演奏者たちも本当に素晴らしかったです。少しずつ彼らとコミュニケーションがとれるようになると、彼らはラロンについて教えてくれました。精神的な、哲学的な、人間のための歌をたくさん残したラロン。明日バングラデシュに帰る、と言って最後のステージでは涙を流していました。彼らの歌を毎日聞く事ができてとても幸せでした。明日からは第3グループ、新しいアーティストが来日します。

This performance of the Bangladeshi artist is the last stage tonight. They showed the very splendid performance. They were able to teach the song of the poet called Lalon Fakir. I was impressed with the song very much. The new performer of the Bangladesh will come over tomorrow.(Yoshiko)


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スリノコ

女木島 2013年8月8日(木)

今日はもう片側のカジキのスリノコ作業です。カワラとカジキを合わせて、間にノコを入れていきます。この作業によりスリアワセができ、隙間無くぴったりと船底と横板を合わせることができます。腰に負担がかかる作業です。

They play a saw between the bottom of the boat and under side plank today. The under side plank in this work is just matched with the bottom of the boat.

高松港からフェリーで15分のところに、桃太郎伝説の鬼ヶ島といわれている女木島(めぎじま)という島があります。鬼が住んでいたと言われる山頂にある大洞窟は、実際には海賊が住んでいたと考えられています。瀬戸内国際芸術祭夏の会期中、この洞窟の中や空き家となっている民家を使ってアート作品が点在し、島内を散策することができます。
立秋を迎え、暦の上では早くも秋とうたっていますが、気温は37℃を越えるところもあり灼熱の暑さです。島巡りをするならば、水分と体力が必要とされます。

There is the island called the MEGI by a ferry from the Takamatsu Port to 15 minutes. There is the legendary island where an ogre lives in. There is a long cave on the mountain. A pirate lived there in old days. Some works of art are displayed there. (Yoshiko)


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釘打

新月 2013年8月7日(水)

お休み開けの今日は、みなバラバラに出勤しました。ダグラスはジョギングで、俣野さんはPCを持って電車で、匠は荷物があるので車で、私はみんなのお弁当を作ってから自転車でベンガル島に向いました。
今日は合わせたカジキにツバノミで穴を開け、船釘を打ち込んでいく作業です。船の下に入り込みながら釘を打ち付けていきます。ミヨシの部分は檜を使っているため木が堅く、船釘の長さを短くしてツバノミで釘の長さまで穴を開けてから打ち込みます。見ているだけも大変さが伝わってきます。ようやく片側のカジキが取り付けられました。それからもう一方のカジキの合わせ作業に入ります。一度やっているので要領を得ているため、今までよりも少し余裕を感じながら合わせに入ります。
今日はしし座の新月です。しし座の司るところは創造力や決断力です。
ほぼ毎日船大工さんたちのためには肉魚を料理していますが、「今日は精進料理です。新月の日は体を清めてきれいにしましょう。」と、北海道から送っていただいた行者にんにくや、高野山の胡麻豆腐、地元の夏野菜をいただきました。

Douglas ran, and Matano-san got a train, and Takumi drove a car, and I went to the boat shop by bicycle. We went to the boat shop separately today because we need a personal time in the morning.
They nail a side plank to the bottom of the boat today. Because the part of Miyoshi(stem) using the hinoki tree, this is very hard. They connected the side plank to the bottom, then they start to the other plank's work.

Today is a new moon. I cooked vegetable meal for dinner. We are cleaning to our body. (Yoshiko)


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四国村

四国村 2013年8月6日(火)

今日はそれぞれ自分の時間で行動できる週に一度のお休み日です。テレビがないので8時15分は静かに迎えました。ダグラスはPCを持って街へ、私たちは俣野さんと讃岐うどんブランチをしたあと、四国民家博物館に行ってきました。四国民家博物館は通称四国村と言われ、四国各地から移築された古民家33棟が当時のままの姿で復元されています。砂糖をつくっていた砂糖しめ小屋、楮を蒸す大きな木桶、茅葺き屋根に竹の床、曲がった太い梁、醤油蔵、麹蔵、先人たちの知恵と技術と労力を前に、思いが伝わってきて家々が今も息をしているかのように感じます。
水の流れる山、竹林、かずら橋、石橋もとても美しく整備されています。中には現代の建築物である安藤忠雄氏設計の美術館もあります。明治時代の神戸の建物を使った異人館カフェもなかなか素敵でした。四国村は尾島の入り口にあります。屋島は朝日も夕日も美しく見える半島です。
高松に来て3週間が経とうとしています。高松は美術や工芸とともに生活している文化的な街です。栗林公園や四国村のように、自然の形を生かして美しく整備した都市に、海からの恩恵を引き継ぐ人々が暮らしています。毎日出勤するベンガル島は異国ですが、伝統や文化を重んじる高松の人たちに受け入れてもらっています。


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カジキの合わせ

Day 16th 2013年8月5日(月)

今日で瀬戸内伝馬船を作り始めてから16日目となる。この芸術祭で和船を作るにあたって心がけている事は、当たり前だが、和船を作れるようになる事である。その為、後で自分で見て理解しやすいようにかなり入念にメモをとっている。
アメリカ人の和船研究家であるダグラス・ブルックスから習う造船方法や技術は、実際に和船を造る船大工さんから習うよりも優れている点があると感じている。なぜなら青森から沖縄まで日本各地の船大工さんの元で和船を造る技術を身につけてきたダグラスは、それぞれの場所で不思議に思った事、それぞれの船大工さんの技術や方法などポイントポイントで伝えてくれるからである。造船の技術を実際に造りながら体にしみ込むと同時に、未だお会いした事の無い日本各地の親方達の言葉がダグラスを通して場所や時間を超えて僕の体に入ってくる。そして殴り書きのようなこのノートを1冊の本になるようにまとめる作業が待っている。
また、会場には日々沢山の方々が訪れてくれる。ここ高松には幼い頃から和船と共に生活をしてこられた方々が沢山住んでいて、皆さんこのプロジェクトに興味を持ち、会場まで足を運んでくれているのだ。散歩コースだからと毎日見に来てくれる方、芸術祭の駐車場で働く昔お宮の彫り師をされていた方、昔造船所で働き今は船の模型を造っている方、元大工さんで現場に来ては毎回刃物を研いでくださる方、近所の玉藻公園や、栗林公園に浮かぶ和船の造船に携わった方々、最近木造の伝馬船を買ったという方、その他本当に多くの方々から沢山の話しを聞く事ができる。なんだか作業は僕たちが行っているんだけれど見に来てくれたり、気にしてくれたりするみんなで作っているという感覚、これは実際に現場で作業をして初めて感じた感覚だ。そして同じ会場にいる異国バングラデシュの造船技術にも日々驚かされながら、高松のこの場所で芸術祭を行っていてそこで和船を造っているという意味を日を重ねるごとに感じている。
同じ会場内での船というキーワードから始まる多国籍間の交流、そして地元高松の方々との交流など、日々色々な動きや驚きが生まれる楽しい時間を過ごしている。
夏の瀬戸内国際芸術祭(みんな「セトゲー」と呼んでいる)が始まり、僕はまだ他の島には行けていないけれど各地で想像していなかった面白い事がどんどん生まれているんだろうなぁと感じている。(匠)


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カジキの合わせ

スリノコ 2013年8月4日(日)

カワラ(船底)にカジキ(横板)をつける作業をしています。船はカーブしているのでぴったり合わせるのはとても大変です。今日は日曜日とあって来客者も多く、話をしては作業をしての繰り返し。いったんカワラにカジキを合わせはじめると二人ともかなり真剣に木を支えながら作業に集中するため、見ている人にもその真剣さが伝わってかたずをのんで見学しています。このライブ感が味わえるのは公開制作ならでは。何度もチャレンジして日が暮れ始める頃にようやく合わせが決まり、今度はその接合部分にスリノコを入れていきます。このカーブにノコを入れることができるのかな、と思っていたら、できるんですね。和船の技術はなかなか面白いです。今日は二人ともへとへとになっていましたが、合わせが決まってほっとしていました。

They do work to attach the side plank to the bottom of the boat. Because the boat is out of the straight, it is great work that they attach the side plank. They reattached it over and over. They could match to bottom with side plank finally. It was very seriously work. The audience watched it very calmly. 

隣の公園ではガーリックフェスティバルが開催され、バングラデシュの音楽と日本の歌謡曲やアメリカのポップスが混ざってすごいカオスを醸し出していました。バングラデシュのジャーナリストに「どう思う?」と訪ねたら、「とても面白いです。日本ではニンニクのフェスティバルがあるんですね。」と答えていました。写真を撮ってバングラデシュのメディアに送ったそうです。ガーリックフェスティバルといってもニンニクを使ったカレーや焼きそばの屋台が並び、ステージでは子どもたちのヒップホップダンスや大人たちのフラダンスの披露をしていました。海外から来てはじめて見る日本、どのように感じるのか興味あります。 (よ)

In the neighboring park it held the Garlic Festival. Various sounds were mixed and were in confusion. The journalist of the Bengali took the photograph. I want to know how they feel Japan .


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カジキの取り付け

ジュンヤとチエ 2013年8月3日(土)

今日から再びダグラスと匠の二人作業になりました。焼き曲げをしたカジキをカワラに合わせていきます。ミヨシをノミで掘ってそこにカジキの先端をはめるように合わせます。わたしたちがクランプとよんでいる固定する道具「万力」を使って、重たい一枚板をゆっくりとカジキ(船底)に添わせます。合わせてははずして削り、また合わせてははずして削りを繰り返すこと数回。船をフレームからつっぱりで固定し、地面からもつっぱりで固定します。カーブしているのでとても慎重に、丁寧に行いました。今日は土曜日とあって、いつもよりもたくさんの人が見に来ていました。
匠の同級生のジュンヤとチエちゃんが来てくれました。家族旅行の合間に寄ってくれて、子どもが親と一緒にバングラリキシャーに乗って街を周遊している間、ベンガル島を散策しました。会いに来てくれてとても嬉しかったです。 (よ)

We match the KAJIKI(side plank) with the KAWARA(bottom) today. Takumi sharpens MIYOSHI(stem) with a chisel and puts the tip of the KAJIKI. Using the vise, we repeat matching and taking off the KAJIKI on the bottom. This is very careful work. 
Jun-ya and Chie who are the classmate of Takumi's college about design came to visit today. Many people came to visit this project. (Yoshiko)


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ヤキマゲ

ヤキマゲ continue 2013年8月2日(金)

昨夜降った大雨で工房は水浸し、船作りの前に工房の復旧作業から始まります。バングラ島はみかん組という建築グループがパレットでつくった仮設工房で、屋根はどこも天幕を張っただけのオープンスペース、雨が降ったらどこもかしこもが水浸しになります。匠はここでもまず他の作業場の復旧に動いていました。
さて、作業ができるようになると昨日に引き続きヤキマゲです。今日は昨日曲げた木をさらにひねるという作業。高知県の歴史民俗資料館の中村さんが訪れてくれました。瀬戸内海歴史民俗資料館のオリノさんも一緒に、二人で暑い中での火を焚く作業にはり付いて写真を撮っていました。 、

水不足だと聞いていたので昨夜の雷雨は恵みの雨でした。8月1日は水の日、それから一週間は水の週間と定められています。この時期東北では川開きやねぶた祭りが始まります。今年は高松で過ごすので、お祭りや地方の行事が楽しみです。(よ)

It was heavy rain last night. Our boatshop became the submergence. At first we fix our boatshop then TAKUMI helped the other Bengali shops.
It is YAKIMAGE work that twists the KAJIKI. Junko-san who is working at the Kochi Historical Museum came to visit.

August 1 is a day of the water in Japan. Also this week is a week of the water. The rain of last night was important because it was shortage of water. 
It is the season when a festival of Japan begins from now on. (Yoshiko)


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ヤキマゲ

ヤキマゲ@八朔 2013年8月1日(木)

いよいよカジキを曲げます。ヤキマゲという、火を焚いて木を曲げる工法でやります。この作業を見るために高知から和船研究家の天狗さん率いる総勢7名の方々、瀬戸内海民俗資料館のオリノさんも登場し、緊張かつ賑やかな現場です。カヌーの場合はスチームベンドといって、製材したパーツを蒸気で曲げていましたが、この伝馬船では一枚板の曲げたいところの下で火を焚いて炙って曲げるというかなり大胆かつ緊張する方法で木を曲げます。カジキの下で火を焚いて、水をかけてゆっくりゆっくり圧をかけていきます。先端におもりをつるし、後方はつっぱりで固定します。ダグラス、俣野さん、匠の3人でひっきりなしに水をかけたり火を焚いたり圧をかけたりと休む間もなく真剣作業が続き、日が暮れる頃、「今日はここまで、」とのダグラスの判断で続きは明日やることになりました。「明日はトゥイストします。」どうやら明日はひねり曲げのようです。(よ)

We do work to bend the KAJIKI today. It is a method we called fried bending and bends 2 KAJIKI. It is a technique of the Japanese-style wooden boat and it is very difficult, and is rare. People came over to watch this work from far away. They took time and bent the KAJIKI slowly. (Yoshiko)


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